高知・森木大智の投球は映像でチェックしたが、馬力のある球を投げ、まさに右の本格派という印象だ。中学時代から球速は150キロを超え、その名は知られていた。高校に入り、体重も18キロほど増えたようで、しっかりと体も作った。投球フォームは全体的にバランスがよく、故障の少ない投げ方をする。真っすぐで押せる直球は魅力的だ。私の後輩である球児のような「火の玉ストレート」を投げる素質は十分にある。スライダーやフォーク、チェンジアップといった変化球をプロで磨けば、3年を目安に、先発として1軍で活躍する投手になるだろう。

高知出身の選手は阪神と縁があるが、高知の地形は四国山地を背に、目の前には太平洋が広がっている。土佐の「いごっそう」という言葉もあるが、後ろを振り向かずに、前へ前へ向かう精神がある。それが近くに六甲山がそびえる甲子園のマウンドに合うのではないか。

今回のドラフトでは、小園を外したが、森木が残っていたのは幸運だ。補強ポイントである左腕も指名できたし、バランスのいい指名になった。

ドラフト会議中にモニターで映し出される阪神の矢野監督をテレビで見る高知の森木。左は高知の浜口監督(撮影・上山淳一)
ドラフト会議中にモニターで映し出される阪神の矢野監督をテレビで見る高知の森木。左は高知の浜口監督(撮影・上山淳一)