今シーズン最終の対巨人3連戦は、阪神の2勝1分けで幕を閉じた。ヤクルトを追い越すのが厳しくなっても食い下がっている状況だ。

山田 阪神はこのメンバーでよく踏ん張ったし、目標を失った巨人はふがいなく、淡々と戦っているようだった。この3連戦は阪神の坂本がピッチャーの良さを引き出した力が大きかった。

今季6試合目の先発高橋は前回登板の5日ヤクルト戦(神宮)まで、4試合続けて梅野がスタメン捕手だった。この一戦では受け手が坂本に代わった。

山田 ヤクルト奥川と投げ合った前回は「三振をとる高橋と、かわしにかかる高橋のどちらが本当の姿なのか?」と論じたが、この巨人戦のように相手打者にストレートを意識させる投手であってほしい。そこにスライダー、カットボール、チェンジアップ、ツーシーム系のボールを投げ分ける。早めに追い込めば自由自在、ほんろうされた巨人はお手上げで、それをうまく引き出したのが坂本だった。

阪神は巨人の弱点に付け入った。9回2死一、二塁。1軍再昇格から2試合目、今季11打席目の6番板山が、巨人ビエイラの2ストライクからの3球目スライダーを右越え二塁打で均衡を破った。

山田 巨人バッテリーは、板山の1、2球目のファウルを見たときに引っ張りにきているのを察知しないといけない。それが分かっていれば、0-2から真っすぐを投じるのなら高めに配し、変化球を選択するならボールにしないといけなかった。そもそもビエイラは“間”が悪く、自分の好調時は抑えるが、そうでないとピンチに弱い。抑えには不向きといえる。一方、阪神スアレスは自分の調子が良くない試合でも踏ん張ることができる。ストッパーの差がもろに出たシーズンだった。

ヤクルトに2ゲーム差に詰め寄ったが、マジックは1つ減らされて「7」になった。

山田 最後は矢野監督も引き分けを覚悟しただろうし、腹を据えて板山に代打を出さなかった采配がはまった。厳しい中でも希望のもてる勝ちになった。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

巨人対阪神 9回表阪神2死一、二塁、右翼フェンスを直撃する先制の適時二塁打を放つ板山。投手ビエイラ(撮影・河野匠)
巨人対阪神 9回表阪神2死一、二塁、右翼フェンスを直撃する先制の適時二塁打を放つ板山。投手ビエイラ(撮影・河野匠)