日本ハムはこれまでのオープン戦や開幕3連戦とは違う打線の組み方だった。この日の西武戦は打つ手が限られていたため、スタメンを見て新庄監督の考えを推し量るしかないが、相手投手にどうやってアプローチしていくかを考えた打線といえる。出塁率の高い近藤を1番にして、4番ヌニエスの間に松本剛と今川優馬を置いた打線は、この日は結果は出なかったが、相手にとっては相当プレッシャーになるだろう。

投手起用も全員が投げることだけが目的だった開幕3連戦とは違い、上沢が8回126球を投げた。札幌の試合からしっかりローテーション投手を回していくことになるだろう。その上で新庄監督は、先発投手は120球ぐらい投げてほしいと思っている。

新庄監督は僅差で勝っていく野球をしようとしているが、走塁で気になる場面があった。7回1死二、三塁のチャンス。近藤の一塁ゴロで三塁走者のアルカンタラは本塁に突入せず、二塁走者の清水が三塁付近まできていたため、帰塁できず走塁死となった。後ろのランナーはいかなる場面でも前のランナーを注意しておかなければならない。キャンプから走塁練習に重きを置いていただけに、こうしたミスは減らしていかなければならない。

先発の上沢は2回に2点を取られたとはいえ、要所を締めて粘りの投球をしていた。ただ、リードを許してたので、無失点に抑えるだけではなく、テンポを意識していた。そこに落とし穴があった。8回2死走者なしで山川に本塁打を打たれた場面。ストライク先行でテンポも上げ、3者凡退に打ち取って攻撃につなげたいという意識が明らかに見てとれた。だが、打者は好調の山川で、テンポを上げてストライク先行の投球が裏目に出てしまった。ここはじっくりといろいろなボールを使いながら慎重に投げたほうが良かった。(日刊スポーツ評論家)

日本ハム対西武 意気消沈の日本ハムベンチ。左から2人目は新庄監督(撮影・佐藤翔太)
日本ハム対西武 意気消沈の日本ハムベンチ。左から2人目は新庄監督(撮影・佐藤翔太)