阪急ブレーブスで通算284勝を記録した元中日監督で日刊スポーツ評論家の山田久志氏(73)が、阪神上位浮上への3条件を挙げた。
交流戦のパ・リーグが大山、佐藤輝ら主軸への配球が間違っていたと指摘した上で「得点力向上」「先発ローテーション確立」「捕手の起用法」について言及した。【取材・構成=寺尾博和編集委員】
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セ・リーグが交流戦でパ・リーグに勝ち越したのはクリーンアップに差があったからだろう。パ・リーグでは西武山川が目立ったぐらいで、あとは迫力不足を感じた。
セはヤクルト村上、阪神大山に代表されるように、クリーンアップが機能したといえる。ヤクルトは「エース」「4番」「抑え」がそろって、投打にバランスのとれたチームになってきた。
巨人は投手力が弱い。ストッパーに大勢がいるから逆算できるはずが、その場、その場の継投をしているうちは勝ちきれない。リリーフの整備を怠っているうちは厳しいだろう。
阪神の交流戦は大成功だった。3日の日本ハム戦(甲子園)で6点差をひっくり返して流れが変わったようだ。チームが勢いづいて「いけるぞ!」という雰囲気になった。
最終カードのオリックス戦に3連勝したのも大きい。オリックスも阪神に3つも続けて負けるチームでないのに、信じられないエラー、状況判断のミスも重なったのは情けなかった。
パのバッテリーは、大山、佐藤輝に対する配球を間違っていた。それは近本にも言えることだ。それなりにリードしたのはソフトバンク甲斐ぐらいで、あとのチームはわかっていなかった。
ここから阪神が浮上するには、一にも二にも得点力を上げることだ。1番から4番まで左打者という偏った打線だから、右打者を1枚挟みたいところだ。戦い慣れたリーグ戦になると、再び各打者への攻め方も変わってくるから、そこに対応できるか否かだろう。
先発ローテーションでいくと先陣を切るのは西勇だが、やはりDeNAの初戦は青柳のようだ。ここのところ安定感だけでなく、勝てるピッチャーになってきたから期待がもてそうだ。
青柳に続くピッチャーでどのようなローテーションを組んでいくのかが興味深い。後ろは固まっているから、先発ローテーションの組み方はポイントになってくる。
キャッチャーは固定すべきだが、主戦の梅野にきめ細かさに欠けるところがみえる。それが坂本、長坂らの併用策になっている理由の1つだろう。投手によって捕手を代えるのかは監督の腹一つで、その起用法もカギを握っている。
どのチームにもいえることだが、ここからいかに夏場を乗り切るか。ヤクルトもこのままずっといくとは思えない。まだまだ先は見えない。