まずヤクルト石川が、45歳でこの2月23日のキャンプの時期に、しっかりとオープン戦で先発として投げられる状態にしていることがすごい。この試合はそこが第一だと思って見ていた。確かに、直球のスピードは130キロに届かないが、球のキレ、コントロール、そしてコンビネーションで十分やっていける。初回の1失点も、アンラッキーが2つ続いたものだった。1週間に1回、投げることもできるんじゃないかと思わせてくれる内容だった。

強いていうなら、近年の石川は低め低めを意識し過ぎるあまり、打者も低めを意識して見逃されることがある。この試合先頭のDeNA梶原を追い込みながらも、最後低めを見逃されて四球になったのも、そうだった。低めというのは基本だが、意図的に高めを使っていくことも大事。例えば、右打者の内角高めのカットボールや、左打者の同じくインハイへ曲げていく変化球を使うことで、投球の幅が広がっていく。それができるのが石川だと思う。

私が中日のときには、カットボールが得意だった川上や、岩瀬のスライダーを左打者の外角に使ってパターンを増やしていった。全盛期ほどのキレがなくなってきたときに、いかに工夫して投球の幅を広げられるか。今年で24年目になる石川は、相手も攻め方が分かって打者有利になっていく中で、タイミングやちょっとしたボールの握りを変えて工夫してきた投手。そこからさらに9分割をフルに、全球種を使った打ち取り方を増やしていけば、まだまだやれる。

プロ野球界では山本昌さんの50歳、サッカーでいえば今年58歳で現役のキングカズさん、そこも十分視野に入ってくるような投球が見られた。終わりなんて考えることなく、決め付けることなくやっていってほしい。通算200勝まであと14勝というのは、味方の力も必要だけど十分狙える。私も45歳まで現役を続けられたが、このキャンプでの1カ月だけで準備できるわけじゃない。オフもトレーニングを積んで投げられるようにしてきたんだと、見ていて確信できる。そこに敬意を表したい。

今季24年連続勝利となればプロ野球新記録で、実は打者としても24年連続安打の投手タイ記録がかかっている。内心、私が持つプロ野球記録の27年連続安打までは抜かして欲しくないなと思いつつ、投打で目標を持ち続けてほしい。(日刊スポーツ評論家)

ヤクルト対DeNA ヤクルト先発の石川(撮影・江口和貴)
ヤクルト対DeNA ヤクルト先発の石川(撮影・江口和貴)