日本ハムは今季、優勝を狙う位置にいる。その意欲があるなら、ミスを取り返すという気構えよりも優先されることがある。普通のプレーを淡々とミスなくこなす安定感といえるだろう。人が周囲に与える安心感とは、普通のプレーを普通にやり切る確実性にある。

初回2死一、二塁。野村は正木の平凡な三ゴロをタイムリーエラー。エラーの原因を探るまでもない。逆にどうしたん? と問いかけたくなるほどの解説不能の失策だった。先発加藤貴にはダメージが残るミスだった。

それが、続くリチャードの三塁線を襲った弾丸のようなゴロを、今度はダイビングで飛び付くスーパープレー。通常、こうしたケースでは、ミスを取り戻す超ファインプレーと評価されるところだが、今の日本ハムはそういう考え方ではいけない。

スーパープレーは素晴らしいことなのだが、それよりも優先されるのは凡打は確実にアウトにするという正確さになる。なぜなら、このタイムリーエラーによって、チームメートも首脳陣も三塁野村に対し不安要素が残ってしまう。

まず、試合が始まれば確実にアウトを積み重ねてリズムを作りたい。それがエース格の加藤貴ならばより一層、その意識を高めて試合に入らなければならない。きっちりした立ち上がりを続けられるチームは強い。この日のような凡ミスのリスクをはらむと、全幅の信頼は生まれない。

野球界でよく使われる表現として「普通のプレーを普通にすることが一番難しい」というフレーズがある。私はこういう受け止め方をしていては一生先に進めないと強く感じる。簡単なプレーは自然と体が動き、ほぼ100%の確率できっちりやり切れなければ、真の強さにつながらない。

野村の凡ミスは、シートノック10回やったら10回ともノーミスでやって当然と言えるゴロ。そこを、野村は突き詰めてもらいたい。その後のスーパープレーや打撃で取り戻したという考え方は否定しないが、今の野村に求められているのは、普通のことを普通にやり抜くことだ。

昨年、チームはソフトバンク戦を12勝12敗1分けの互角で終えた。これが、大きな自信となり、今季の新庄監督に対しては過去最大の期待が集まる。優勝争いの最大のライバルソフトバンク相手に、初回こんな形で失点をしたら、チームの士気に大きく影響を与える。それほど負の余韻が残る凡プレーだったことを、ここは厳しく指摘しておきたい。(日刊スポーツ評論家)

ソフトバンク対日本ハム 6回表日本ハム1死二塁、野村は左越えに適時二塁打を放つ(撮影・梅根麻紀)
ソフトバンク対日本ハム 6回表日本ハム1死二塁、野村は左越えに適時二塁打を放つ(撮影・梅根麻紀)