巨人に移籍して、すでに1勝を挙げた田中将だが、今シーズンを占う上では今回の登板が重要になると思っていた。なぜか? 前回の登板を見て、不安に思っていたのが左打者に対しての投球だった。
今試合でのDeNAは、9人中7人が左打者だった。初回の左打者への投球は、先頭打者・梶原に2ボールから142キロの真っすぐを右翼フェンス直撃の二塁打。三森はボテボテの内野安打だが、度会の当たりも痛烈なファーストライナー。佐野の犠牲フライもフェンス手前の大きなフライだった。
初回の2失点は不運な面があった。三森の内野安打は打ち取った当たりで、吉川が握り損ねて送球をためらったための内野安打だった。しかし2回の失点は「打ち込まれた」という内容。特に2死二塁から梶原に対し、捕手の甲斐は2球続けて高めの内角真っすぐを要求したが、逆球になって抜けていた。三森、度会にも連続タイムリー。右打者ではあるが、牧には内角を狙った真っすぐが逆球になり、6点目のタイムリーを浴びてしまった。
まず、スピードガン表示では140キロ台後半が出ていたが、打者のスイングを見ているとスピードに戸惑った感じはなかった。それならば制球力で勝負しなければいけないが、2回の梶原に対しての1、2球目の投球も牧に浴びた痛打も、いずれも内角を狙って投げた真っすぐが逆球になっている。この内角へしっかりとコントロールして投げられなければ、打者に対して「怖さ」を植え付けることはできない。
左打者を抑えるためにも、内角攻めは必要。田中将の場合、左打者に対して逃げていく球はスプリットだが、球威がないと効き目が薄くなる。スピードが足りないなら、内角を攻めなければ抑えられない。今試合でも追い込まれるまではスプリットを空振りしてくれたが、追い込んだ後はいいところに落ちたスプリットを見逃されてしまっていた。
ただ、このままでは通用しないというわけでない。年齢的に球威を上げていくのは難しいかもしれないが、内角を厳しく攻めることはできる。この試合の球審はストライクゾーンが狭かったが、アウトコースへのコントロールがよかった。もともと制球力はある。厳しく内角を攻められる技術的な下地はある。
200勝まであと2勝。心を鬼にして内角を攻められれば、すぐにでもクリアできると思う。頑張ってもらいたい。(日刊スポーツ評論家)




