日刊スポーツ評論家の里崎智也氏(48)が、広島巨人7回戦(マツダスタジアム)をチェックした。ソフトバンクからの移籍後即「7番三塁」でスタメン出場した巨人リチャード内野手(25)が1号本塁打を放った、次の打席に着目した。
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巨人は主力が不在で苦しい。しかし、私はこの試合を別の角度から注目していた。リチャードが課題に対してどういうバッティングをするのか。その1点に着目した。
第2打席で緊急トレードを決断した阿部監督に一発回答する。5回、ソロアーチを左中間に運んだ。ストレート系を確実にとらえた一発だったが、私はこの後の打席こそ、リチャードの成長が問われると考えていた。
ポイントは高めの真っすぐと低めの変化球、この見極めにあった。ソフトバンク時代から見てきて、ずっと取り組んできた弱点だ。前の打席でストレート系を仕留めた。今度は低めの変化球で攻められるのは当然だった。
6回1死一、二塁。第3打席は左腕森浦と対した。カウント1-1から3球目チェンジアップを空振り。1-2と追い込まれた4球目、低めチェンジアップをしっかり見逃す。この場面から、リチャードは自分がどう研究されて攻められるのか、そこへの備えができていると感じた。
カウント2-2から、広島バッテリーは3球続けてチェンジアップを選択。ただ前の投球で低めボール球を見逃されたことがわずかに影響したか、森浦のチェンジアップは浮いた。そこをしっかりとらえた左前打。浅野の犠飛につなげ、2点差につめる貴重な2点目をアシストした。
この後、キャベッジの同点2ランが飛び出し、リチャード、キャベッジの一発攻勢で負け試合を接戦に持ち込んだ。巨人は主力の故障と不振で厳しい状況にあるが、それ以上にリチャードは追い込まれていたと感じる。その中で、ソロアーチを起爆剤に、内容あるヒットを放ったことは、リチャード自身にとって大きかったと感じた。
巨人から見れば、ほぼ負け試合という悪い流れだった。戸郷は押し出し四球で先制点を与え、3イニング連続で失点。3回には無死二塁で、犠打を決められず投飛に終わった。
また、2回2死一塁でファビアンの強い三遊間の当たりを、リチャードが捕れずヒットとした。ここも打球反応が遅い分、ヒットにしており、厳しく言えば記録に表れないミスに近かった。トレード移籍して即スタメン起用され、大きなチャンスを与えられている。この起用は阿部監督にも大きな決断だった。バッティングで結果を見せたが、守りでももっとアグレッシブなプレーができるはずだ。
今後も、リチャードは高めの真っすぐと、低めの変化球というコンビネーションで攻められるだろう。その時、この日のようにしっかり見逃すことができるかどうか。ここに大きな鍵がある。継続すること。それがリチャード自身がチャンスをつかむ最短距離であり、その時はじめてチームにとっても大きな補強となる。(日刊スポーツ評論家)




