首位阪神が今季2度目の引き分けに持ち込んだ。0-1で迎えた9回表2死走者なし、今季初めてスタメン起用された高寺望夢内野手(22)が劇的なプロ初本塁打で試合を振り出しに戻した。日刊スポーツ評論家の岩田稔氏(41)はメモリアル弾の直前2打席に注目。「再びチャンスを与えたくなる一挙手一投足だった」と絶賛した。【聞き手=佐井陽介】

◇ ◇ ◇ ◇

阪神高寺選手のプロ初本塁打にはさすがに驚かされました。もともと持ち前の打力は高評価されていましたが、場面は0-1の9回2死走者なし。あと1人でゲームセットという土俵際から一振りで試合を振り出しに戻したのですから、「値千金」という表現も全く大げさではありません。遊撃先発を続けていた小幡選手の負傷離脱を受け、高寺選手にとっては22年10月以来、実に954日ぶりとなるスタメン出場。木浪選手の先発復帰も予想された中、藤川監督の抜てきがズバリ的中した形です。

個人的に注目したのがプロ初本塁打が飛び出す直前、2、3打席目の内容です。2打席ともにファーストストライクで犠打を決めたのですが、この2犠打は本当に価値がありました。

どちらも両チーム無得点の緊迫した状況でした。5回は5番大山選手がストレートの四球で歩いた直後の無死一塁。7回は4番佐藤輝選手のラッキーな安打と大山選手の四球で無死一、二塁。久々にスタメン出場した22歳にとっては相当タフな場面でした。にもかかわらず、2打席とも流れを途切れさせることなく、難なく犠打に成功。常日頃から地道にバント練習を続けてきた成果に違いありません。この2つの犠打が9回の劇的な本塁打につながったようにも映りました。

遊撃守備でも1回裏1死一、二塁で遊ゴロ併殺打をスムーズにさばいてから、延長12回裏にもう少しでファインプレーとなるダイビングキャッチを決めるまで、違和感のない守備を続けました。マルチプレーヤーとして内外野の準備を続ける難しい立場ながら、この日は攻守でスキのないハツラツプレーを披露。チームの黒星を消し、再びチャンスを与えたくなる一挙手一投足だったことに疑いの余地はありません。(日刊スポーツ評論家)

DeNA対阪神 7回表阪神無死一、二塁、送りバントを決める高寺。投手ケイ(撮影・河田真司)
DeNA対阪神 7回表阪神無死一、二塁、送りバントを決める高寺。投手ケイ(撮影・河田真司)
DeNA対阪神 9回表阪神2死、高寺(左)のソロ本塁打に思わず笑みがこぼれる藤川監督(撮影・垰建太)
DeNA対阪神 9回表阪神2死、高寺(左)のソロ本塁打に思わず笑みがこぼれる藤川監督(撮影・垰建太)