8月30日、Koboパーク宮城が騒然とした。楽天-西武20回戦は、楽天4点ビハインドの8回表後に降雨で一時中断。同時に白い鳥が、グラウンド上に現れた。その数が、尋常ではない。数十羽単位で群れを作り、わが物顔で旋回を始めた。マウンド付近、外野などあらゆる場所でだ。

 球団関係者は「鳥に詳しいスタッフがいたので」と、花火を打ち上げ、球場の照明を消すなど対策を講じた。だが、100羽を超す鳥は飛び続け、中断時間は58分間にまで伸びた。結果的にその裏の攻撃で4点差を追いつき、その後、降雨コールドで引き分けとなった。

 翌日になっても、その話題で盛り上がった。前述の鳥に詳しいスタッフは「あれは、チドリですね」と推測した。日刊スポーツの社内でも、その話題で持ちきり。デスクの指令を受け、鳥の正体を取材することになった。財団法人・日本野鳥の会に電話すると、取材申請を出していないにも関わらず、快く対応してくれた。

 同会の職員は「何社か問い合わせを頂きまして」と言い「おそらくアカエリヒレアシシギですね。この時期に、北極海で繁殖して、寒い冬を越すために南下します。海を渡る鳥で、通常は数万の大群で行動します。海の上を移動するので、風の影響で群れから外れたかもしれませんね。光に反応する鳥ですので、照明に(誘われて)その一部が、迷い込んできたのかもしれません」と見解を語った。

 「幸福の白い鳥ですか?」と尋ねると、「それはどうか分かりませんが、害はありません」と説明してくれた。「基本的に南下していきますので、2夜連続で現れたら、かなりレアなケース」と続けた。ある球団スタッフは「中断を除いては、結果的に鳥が来てから同点になった。幸福の鳥ですね」と鳥の再来を期待していた。その一方で「動物駆除用雷」という爆発音が鳴るアイテムを用意。襲来した際の対応は、バッチリだった。迎えた8月31日。スタンドのファンは、何人も上空に視線を送った。私も気に掛けた。だが、現れることはなかった。試合も2-6で敗れた。幸福の白い鳥。連敗するチーム状況を見ていると、再来を期待してしまう。【楽天担当=栗田尚樹】