全国で球音と歓声が響くはずの黄金週間。選手もファンも、今年は球場に足を運ぶことすら許されない状況が続いている。心ひとつに乗り切れば、野球のある日常は必ず戻る。角度を変えて切り取りながら、その力を再確認してみた。
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#野球には夢がある 24日夜、ツイッター上にこんなハッシュタグがあふれた。NHKBS1が、01年9月26日の近鉄-オリックス戦を再放送。近鉄北川の「代打逆転サヨナラ満塁優勝決定弾」に開幕を待ちわびるファンがわいた。
奇跡の裏には、必ず陰の立役者がいる。3点を追う9回無死二、三塁。8番ギルバートの代打で登場した益田大介氏(46)が、四球を選んでお膳立てした。今季から楽天の広報を務めている。3月上旬の静岡遠征中、当時を尋ねた。「あの年は、何点差でも『何か起こるんちゃうかな』と。諦めたらいけないということを学ばせてもらった。もうあんなことは…ないんちゃうかな」。
冷静だった。「とにかくつなげば何とかなる」。カウント2-1からの4球目、内角の際どい球を見極め、5球で四球へ持ち込んだ。「よっしゃ! と。北川さんなら何とかしてくれると思ったね」。球史に輝く1発は、一塁走者として目撃した。「『これで勝ったんか?』と、思わず足し算しちゃったね(笑い)」。誰も予想できない結末は、今も色あせず感動や勇気を与えてくれる。
医療、物流、日用品販売。コロナ禍の最前線で体を張り、社会を支えている方々がいる。「夢」「希望」だけでは解消できない。野球はじめ、スポーツ、文化イベントは辛抱の時に直面している。アスリートたちは、夢や希望を与えられる日が必ず来ると信じ、雌伏の時を過ごしている。
楽天は3月30日からチームの活動を休止。情報発信は全て広報を介して行われる。選手、メディア、ファンとの懸け橋を担う益田氏は以前、自身の役割をこう言った。「主力はもちろん、苦労している選手にチャンスが来た時に取り上げてもらえるように手助けしたい。俺もけがや2軍生活が長かったから」。耐えれば耐えるほど、筋書きのないドラマは面白くなる。




