日本ハムのドラフト1位伊藤大海投手(23)が4月28日ソフトバンク戦(ペイペイドーム)でプロ初勝利を挙げた。翌日の日刊スポーツでは、伊藤が小学校時代に書いた卒業文集を紹介した。北海道・鹿部町出身の道産子が、ドラフト1位で地元球団へ入団できた理由が垣間見えるものだった。

タイトルは「サイコーの野球から学んだこと」。小学生の伊藤は、起承転結の“転”の部分で伝えたいことを端的にまとめている。

「ぼくの言うサイコーの野球とは大好きな野球を楽しむなかで、できなかったことを練習してできるようになったときの喜びのことです。ぼくはそれが勝つことよりも楽しいし、大事なことだと思います」

努力の大切さを学んだ野球少年団での日々。小5で出場した全道大会は優勝できず、リベンジを期した翌年。予選の準決勝で逆転ランニング2ランを放ち、決勝も勝って2年連続で全道大会出場を決めたが、この年も全道チャンピオンにはなれなかった。ただ「一生懸命やったのでくいはありません」と記した“起”と“承”を受けて、サイコーの野球から学んだことを書き留めている。

“結”の部分では、今後へ向けた決意表明をはっきりと示していた。「野球は楽しみだけでなく、いろいろ大切なことを教えてくれるものです。こんな楽しい野球をぼくはこれからも続けていきたいと思います。(中略)中学校でも何事にも負けないようにがんばりたいと思います」。

野球への情熱と論理的な思考力を小学生の時から併せ持つからこそ、どんな困難も乗り越えてプロ野球の舞台にたどり着けたのだろう。当時、日本ハムは北海道へ移転してリーグ優勝や日本一にも輝いていた。将来の夢を「メジャーリーガー」としたが、多感な時期に最高峰の舞台を身近に感じられたことも、大きかったのではないだろうか。

きっとプロ入り後も全てがうまくはいかないと思うが、その度に乗り越えていける術(すべ)をみつけるはずだ。チームを窮地から救うような活躍をする時も必ず来るはずだ。小学生時代の伊藤が、そう確信させてくれる。【日本ハム担当=木下大輔】