「伝統の一戦」通算2000試合。華やかなゲームの裏で、復活を目指し地道に歩みを進めている選手もいる。16日に23歳の誕生日を迎えた阪神ドラフト4位栄枝裕貴捕手は、鳴尾浜でリハビリの日々を送っている。

立命大から即戦力と期待されて入団し、春季キャンプは1軍スタート。「枝キャノン」と呼ばれる強肩を武器にアピールを続けた。3月に入ると2軍に合流。教育リーグでは猛打賞を記録するなど、着実に経験を積んでいた矢先だった。3月末に兵庫県内の病院で右肋骨(ろっこつ)の疲労骨折が判明。「骨折までいっているとは…。なってしまったことは仕方ないので、できるだけ早く治してチームの力になれるようにしたい」。1年目。アピールのため飛ばしすぎた部分もあったのだろう。

プロに送り出した立命大・後藤昇監督(61)は1つ年を重ねた教え子を心配し、言葉を紡いだ。「せっかく頑張りたいタイミングやと思うんですけど。やっぱり努力の子なんで、やり過ぎてしまうところはあったと思う。特にプロに入って、期待されているところもあると思いますし」。大学時代は大きなけがをしたことはなかったという。だからこそ「これくらいやったら大丈夫やろって、あったと思いますよ。これまでけがをしていない分、余計にね」と推察した。「とにかく焦らずに、しっかり治して。またしっかり野球に戻ってきてほしいよね」。思いはきっと栄枝に伝わっているだろう。

「真面目」「実直」「一生懸命」。恩師から性格をそう表現された23歳。鳴尾浜で過ごすバースデーは今年で最後にするつもりのはずだ。【阪神担当=中野椋】

◆栄枝裕貴(さかえだ・ゆうき)1998年(平10)5月16日、高知県生まれ。高知中では軟式野球で全国制覇を経験。高知高で甲子園出場はなし。立命大では1年秋からベンチ入りし、3年時には大学日本代表候補合宿に参加した。二塁送球1秒8の強肩が持ち味で、矢野監督の現役時代と同じ背番号「39」を背負う。180センチ、81キロ。右投げ右打ち。