18・44メートル先からの証言-。日刊スポーツでは東京オリンピック特別企画として、侍JAPANのエース格として金メダル獲得に貢献したオリックス山本由伸投手(22)の投球に迫ります。今回は、若月健矢捕手(25)に「左手の記憶」を証言してもらいました。
山本の中では“レア”なスライダーに、若月は着眼する。「もちろん、全球種キレがすごいんですよ」と前置きした上で「僕が思うのは、めったに投げないスライダー。ほんとに、1試合に1球2球? ぐらいしか投げないですけど、えぐいですよ。曲がり方もコントロールも。あんなの打てない」と絶賛する。
「腕が少し横振りになるそうで。あまり投げないからこそ、ここぞの場面で持っていける。それが、また良いんです」
一度うなずきながらも、少し考えて「140キロ台のスライダーかぁ…。僕は、めちやくちゃ使いたいんですけどね。もっと幅が広がると思う。ファウルも打てないだろうから(空振りで)球数が減りますよね」と頭中で配球を何度も練り直した。
とある悩みもある。「受けたら、痛いですよね。指2倍まで腫れ上がりますから。本当は、僕は素手(ミットだけ)で捕りたいんですけど、クッションのついたキャッチャー用の守備手袋、用意してますよ」と明かす。「今年から、寅威さんも(人さし指に)指当てつけてるでしょ? あれ、僕があげたんですよ!」と笑顔で強調。「由伸は桁違いに痛い。きれいな真っすぐも、ぐにゃぐにゃの真っすぐもある。捕る瞬間に(軌道が)ズレるわけですよ。ミットの芯で捕ろうと思っても、最後にズレるから痛い…」と証言するように、数センチ単位で“動くボール”を投じている。
若月が「本当にすごいなぁ」と感心するのが「例えば2、3球、カーブやフォークのコントロールがダメだったとするじゃないですか。それでも『次もサイン出してくださいよ!次、いけますから』と。(配球の)選択肢から消さないでくれ! って」。若月が使いたくても使えないスライダーの意味が、よく理解できる。【オリックス担当 真柴健】




