阪神がドラフト7位で京都国際の中川勇斗捕手(3位)を指名した。172センチと小柄だが、プロ向きな性格で将来が楽しみだ。記者がアマ野球担当だった昨年12月に取材した。昨秋の近畿大会で4強入りしセンバツ初出場が濃厚だった。

取材したのは12月中旬。肌寒い中、中川たちはウインドブレーカーを着てロングティーを行っていた。攻守の要と小牧憲継監督(38)から聞き、中川にカメラを向けた。すると、こちらに気づいた中川はニコリと笑って、「よっしゃ!」と上着を脱ぎ、Tシャツ姿になって、さらに強くスイングしてボールをより遠く飛ばして見せた。

まだ本人に話を聞くとも知らせてない中での行動だった。指名後の取材で改めてその話をすると、照れながら中川は「アピールするのは好きなんですよ」と笑いながら答えてくれた。

2年生の2枚看板投手を率いて今夏の甲子園では初出場で4強まで勝ち進んだ。そのキャッチングやリードなど守りの面に加え2本塁打と、夏の大舞台でスカウト陣に猛アピールし、支配下でのプロ入りの道をつかんだ。昨年は現オリックス育成の釣寿生(つり・じゅい)捕手が正捕手だった。180センチ、85キロの大型スラッガーを見て「自分はプロにいけない」と自信をなくしかけたこともあった。

愛知県小牧市出身。多くの強豪高校から注目される中で、京都国際に進学した。小牧監督から「心」の部分を鍛えられ、視野の広い捕手に育ち、センバツで甲子園を経験後、少しずつプロへの思いが強まってきた。

「小牧市からは初のプロ野球選手なんです」とうれしそうに教えてくれた。巨人育成9位の誉・川崎陽仁投手(3年)は小学生時代、小牧パンサーズのチームメート。「でも、彼は小牧市ではないところから来ていたんですよ」と、「小牧市初」は自分だけとうれしそうに話す。ドラフトの順位は7位だが、侍ジャパンのソフトバンク甲斐拓也(28)は10年育成6位で身長も170センチだ。中川も鳴尾浜で鍛えて、頼もしい捕手となってほしい。【石橋隆雄】