これだ、これだ…。オリックス富山凌雅投手(25)の声を聞いて、うなずきが止まらなかった。それと同時に、胸の内で安心した。

「また新しい肘になって、復活したい。どれだけのボールを投げられるか分からないですけど…。今、野球ができている人たちに、今思う存分に野球をしておいてくださいという気持ちですね。復帰すれば手加減しませんよって感じです」

昨季チームトップの51試合に登板した左腕は今年10月、左肘トミー・ジョン手術を決断。育成契約を結び、背番号は128となった。

富山の熱い言葉に「らしいな」という感想と「そうだな」という納得が入り交じった。

15日、大阪・舞洲の球団施設でチームトップの契約更改交渉を行った。新たに育成契約を結び、背番号は128に。会見の最後「僕からのお話なんですけど…」と富山は報道陣にお願いした。

「ネットとかには(書き込まれるのは)球団が僕と椋木に育成契約を打診しているという情報だけ。やっぱり…。一般の方って(リハビリで育成への)契約の仕方とかあまり分からないじゃないですか? ちゃんと僕が手術する際に(球団から)『焦らずゆっくりリハビリしてくれ』という形で育成契約にしてもらっている。記者の皆さんはある程度分かっていると思うんですけど、一般の方たちも、僕が何で育成になるのかが分かるようにお願いしたいです」

富山自身は来季1年間でリハビリ生活を終え、来秋のみやざきフェニックス・リーグでの実戦マウンドを目指している。「トミー・ジョン手術をすると、リハビリが1年間あります。次の年に復帰しても成績が出るか分かりません。それに…。支配下(登録)のままだと復帰を急いでしまう。球団側からゆっくりやるためにも育成に、という提案だった。それで『お願いします』と僕が言いました」と切実な思いを明かす。

チーム活性化にもつながると言う。「(リハビリ期間に)支配下枠(の空き)が増える。今の育成で頑張っている選手も、やる気が出ると思う」。常勝軍団形成へ、チーム内競争は必須。連覇&日本一を画面越しに見た富山は「去年活躍できなかった選手がいっぱい活躍していた。途中から支配下になった選手も活躍して、戦力はめちゃくちゃ上がっている」。ベンチ内のホワイトボードに「富山」の名前を、また刻む。ブルペン待機の日々を夢見て、今、黙々と励む。【オリックス担当=真柴健】

育成契約となり、減額幅いっぱいでサインしたオリックス富山(撮影・和賀正仁)
育成契約となり、減額幅いっぱいでサインしたオリックス富山(撮影・和賀正仁)