前提として今大会は優勝を争うライバル国のレベルアップに拍車がかかっている。日本の戦い方として、先制点を奪って少ないリードを守り抜く。基本的すぎるかもしれないが、バッテリーを含めてディフェンス力を高めた方が優勝の可能性が積み上がっていく。

谷繁氏が選ぶ侍ジャパンのスタメン
谷繁氏が選ぶ侍ジャパンのスタメン

先発は第2先発を含めて8枚をそろえる。対戦相手にもよるが、違うタイプでコンビを組ませる。ダルビッシュ+宮城、山本+今永、菊池雄+高橋宏、佐々木朗+与座のように右腕から左腕、左腕から右腕、剛速球からサブマリンと継投で特徴を激変させる。

中継ぎは大勢がポイントになる。メジャーの代表的守護神、エドウィン・ディアス(メッツ)と投法も含めてイメージが重なる。スリークオーターからの155キロ前後の速球で勝負できる。強化試合には招集されなかったが、宇田川も速球に加え、フォークは大きな武器で国際試合向き。守護神は先発より負担が減らせる大谷で勝ち試合を締めさせる。

正捕手には中村を選ぶ。肩の強さ、国際試合の経験値では確かに甲斐の方が上だ。だがこの1、2年の中村の成長は目覚ましい。特に相手打者を見て、感じて、投手をリードする点に優れている。事前のデータはそろっていても実際の対戦で印象が変わったり、2巡目からの強打者の対応力を感じ取らなければいけない。今の中村は見て、感じられる。第3捕手は坂倉。今季は捕手での出場は少なかったが、捕手としての基準値には達している。森との選択にも悩むが、一、三塁、外野手もこなせる部分を買う。

打線は吉田正がメジャー挑戦の可能性が高まり、招集が現実的ではなくなったことで構想が変わった。本来は1番から大谷、秋山、村上、鈴木、吉田正と並べようとした。3番村上でも勝負強い鈴木と吉田正が控える。吉田正が呼べなければ高い出塁率を誇る近藤を2番に入れ、大谷を3番に、村上を4番に据える。1~4番まで左が並ぶが、左投手を苦にしない打者で大きな問題ではないと思う。

【イラスト】谷繁氏が選ぶWBC日本代表メンバー
【イラスト】谷繁氏が選ぶWBC日本代表メンバー

岡本和をメンバーに入れる。菊池涼の状態が悪い時には三塁岡本和、二塁牧、一塁村上のオプションが生まれる。菊池涼は守備固めとして、終盤での起用でも効いてくる。

ユーティリティー選手としては牧原大を強く推す。来季はソフトバンクで中堅手でレギュラーを狙うようだが、内野も全ポジションを高いレベルでこなせる。走力もあり、センスにあふれる。1人で何役も演じられる選手が、ベンチにいろいろな選択肢を与えてくれ、WBCでは重宝される。(日刊スポーツ評論家、この項おわり)