プロ野球ドラフト会議が24日に迫る。華やかさも厳しさもある世界を志す若者たちは、人生の分岐点を前に今、何を思うか。第1回は神戸弘陵(兵庫)の村上泰斗投手(3年)のもとへ向かった。

ドラフト指名を待つ神戸弘陵・村上
ドラフト指名を待つ神戸弘陵・村上

最速153キロ右腕の神戸弘陵・村上は、NPBスカウトから「高校生トップクラス」と評され、今秋ドラフトの上位候補に挙がっている。ただ、「もし指名されなかった時っていうのが頭の中で一番あって。楽しみではありますけど、怖さの方があります…」。異彩を放つ能力とは裏腹に、心配げな面持ちで胸の内を明かした。

中学時代に所属していた大阪箕面ボーイズでは控え捕手だった。身体能力は高く、本人の希望もあって高校入学後から投手に挑戦。岡本博公監督(43)は「肩は強いし、腕の振りもちっちゃくて強くて、これは面白いと思いましたね」と投手転向を後押しした。

「研究熱心」で一流の投手の分析が日課だった。ドジャース大谷翔平やロッテ佐々木朗希の左足の上げ方、タイガース前田健太、オリックス山岡泰輔らの下半身の使い方などを参考に自らのフォームを形成。「火の玉ストレート」を目標に「憧れで理想」の阪神の藤川球児投手(現監督)の人さし指と中指をくっつけて投げる直球の握りや、上からたたきつける投げ方を導入。変化球はパドレス・ダルビッシュのYouTubeなどで学び、練習で磨きをかけてきた。

メキメキと頭角を現し、入学時135キロだった直球は2年時で152キロまで成長。次第に現地で視察するスカウトの数は増えていった。3年夏は初戦の飾磨工戦で9回1死までノーヒットノーランと圧倒。中1日で臨んだ西宮今津戦では終盤に救援し、2回完全投球を見せるも惜敗。夏の甲子園を逃すも、最後の夏で存分に能力の高さを示した。

引退後も後輩の練習に参加し、週に1度のペースでブルペン投球を実施。週末は肩の可動域を広げる目的でプールに通うなどしてプロ入りへ備える。「みんなから認められて、愛される選手になりたい。どこで輝くも自分次第です」。まだまだ伸び盛りの未完の大器が、夢の舞台への扉をこじ開ける。【古財稜明】

◆村上泰斗(むらかみ・たいと)2007年(平19)2月20日生まれ、兵庫県猪名川町出身。白金小1年から白金メッツ(軟式)で野球を始める。猪名川中では大阪箕面ボーイズに所属。中学までは主に捕手。神戸弘陵に進学後から投手に転向し、2年春から背番号11でベンチ入り。球種は緩急つけた2種類のスライダー、カットボール、カーブ、フォーク、チェンジアップ、ツーシーム。180センチ、73キロ。右投げ両打ち。