第98回選抜高校野球大会(3月19日開幕・甲子園)の出場校が30日に発表される。日刊スポーツでは「春待つDNA」と題して、甲子園を沸かせた親族たちの思いを背負って吉報を待つ選手たちを全3回で紹介。第2回は帝京長岡の鈴木祥大主将(2年)。中越を指揮して夏7度の甲子園に導いた祖父春祥さん(83)、公立2校で春夏甲子園出場に導いた父春樹さん(54)との「親子3代」甲子園出場への期待が高まっている。
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祖父から父、そして孫へ。憧れの甲子園をつなぐバトンは受け継がれようとしている。狭き門を突破して、新潟の親子3代が甲子園の地を踏む瞬間が刻々と迫ってきている。帝京長岡主将の鈴木は「おじいちゃんとお父さんは選手としてではなく監督として出た。自分は選手として出られるチャンスがあるので、本当にうれしいです」と実感を込めた。
祖父の春祥さんは38年間にわたり中越を指揮し、夏の甲子園に計7度導いた。6度目の挑戦となった94年夏に坂出商(香川)に2-1で競り勝ち、監督就任30年目にして甲子園初白星。02年夏を最後に勇退した。脳梗塞の影響で歩く際にはつえが手放せないが「孫が選抜に出ることになったら、ぜひ甲子園で見たい。孫のためならリハビリも頑張れる」と力強い。
父の春樹さん(54=現・長岡商教頭)は柏崎時代に21世紀枠代表で03年春、さらに新潟県央工時代の08年夏に甲子園で指揮した。昨年まで新潟県高野連の専務理事の立場から距離を置いてきたが、大役から降りた後は息子の活躍を温かく見守る父親の姿に戻った。「甲子園で戦った経験を伝えたい」とサポートを惜しまない。
新潟の高校野球を引っ張ってきた2人の背中を追いかけながら、鈴木は独自路線を歩んだ。元日本ハム、ソフトバンクの芝草宇宙監督(56)が率いる帝京長岡に進んだ。春夏通じて甲子園出場はいまだないが「自分の道は自分で作りたい」と迷いはなかった。昨秋の新潟大会は準決勝で日本文理に7回コールド負けしたが、新潟3位で臨んだ北信越大会の決勝では日本文理にリベンジ。3試合全て1点差ゲームを制し、北陸王者に輝いた。
レギュラーの大半が1年生という若い布陣は堅い守備から流れを作り、少ないチャンスを物にする展開を好む。元プロの指揮官から「ここぞという時に打つのはやはり血筋かな」と評される鈴木は、主将兼正外野手。フォア・ザ・チームを貫き「若いチームなので下級生がやりやすいようにするのが自分の仕事」とグラウンド内外に目を配る。
県勢では日本文理の09年夏準優勝が最高成績。いまだ頂点に立ってない。祖父、父が果たせなかった全国の壁を乗り越え「新潟の歴史を塗り替えたい」と息巻く。雪国に一足早い春の訪れを告げる吉報は、もう間もなくだ。【平山連】
◆鈴木祥大(すずき・しょうた)2008年(平20)12月12日、新潟・長岡市生まれ。小学3年から、けいせつ野球クラブで野球を始める。東北中を経て、帝京長岡では1年秋からベンチ入り。50メートル走6秒3。遠投90メートル。身長172センチ、体重66キロ。好きな言葉は「時代は新潟」。右投げ右打ち。
◆帝京長岡 1908年(明41)1月に長岡女子技芸講習所の名で創立した私立校。長岡中央を経て、91年(平3)4月から現校名に変更。生徒数は1065人(女子490人)。野球部は87年創部で、甲子園出場なし。部員55人(マネジャー含む)。主な卒業生は阪神の茨木秀俊、ロッテの茨木佑太、楽天の幌村黛汰ら。所在地は新潟県長岡市住吉3の9の1。浅川節雄校長。




