楽天三木谷浩史会長兼オーナー(53)が、余すところなく語ります。球界再編問題を乗り越え、2005年(平17)シーズンから参入。イノベーター(革新者)の精神で平成後期の球界に息吹を吹き込み、13年に日本一を達成しました。来年のオーナー会議では議長を務める大物が、平成最後の年の瀬に何を思うか。

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野球協約の第3条に「野球を不朽の国技として社会の文化的公共財とするよう努め」の一節があります。

スポーツがなぜ面白いかというと、自分や周囲、子どもがやっていたりする。その中でファンになり、感情移入ができたりして、どんどん盛り上がっていく。その中でもプロ野球が、他競技と比べて倍、いい点があります。シーズン143試合があって、ポストシーズン、日本シリーズがあって、非常に長い。

試合も長いし、攻守のインターバルもいっぱいある。サッカーなんかはガチンコの格闘技ですが、ちょっと意味合いが違う。「文化的」が適切かどうかは分かりませんが、生活の一部として、深く入り込んでいる面があると思いますし、総合的なエンターテインメントとして考えなくてはいけないとも思っています。

「観覧車、あそこに造れよ」と。天然芝は正直に言って…社内的にも反対多数でしたけど。コストはかかるし守備は大変。でも、マツダスタジアムさんもそうですけど、気持ちがいいじゃないですか。「フィールド・オブ・ドリームス」じゃないですけど。他のスポーツとは少し違う。いいと思うんですよね。そういう観点で、いろんなモノを作ってきました。

仙台のような都市で見れば、経済の大きな中核になる。金銭的な面はもちろんですが、子どもがたくさん見に来るし、修学旅行生も来る。教育の面からも非常に影響力が大きいと言えます。単純に「楽天の広告塔」「オーナー企業の広告塔」ということではなくて。社会、特に地域社会の貢献は、共存共栄という意味でも、重要だと考えます。

僕はセ・パ6球団でいいと思っています。そうはいっても12球団しかない。一体的に盛り上げていくことを考えていかなくてはいけません。

組み合わせの数が違うのでは、と思います。いろんな組み合わせがあった方が面白いでしょう。交流戦をもっとシーズンの中にちりばめて、シーズンの中にセ・パの戦いがある。リーグ戦6割、4割が交流戦くらいの割合でいいんじゃないかと思います。

なぜ一定期間中に交流戦をまとめなくてはならないのかも、分かりません。DH制も、もしかしたら「やる、やらない」で両方そろえた方がいいかもしれない。採用する、採用しないは、皆さんの意見があると思うんですけど。少なくともオーナー会議で、そんな議論ができたらいいな、と思っています。(つづく)【取材=宮下敬至】

16年5月、スマイルグリコパークのグランドオープン記念セレモニーを行う、左から江崎グリコ渡辺武北海道東北菓子食品統括支店長、楽天銀次、三木谷浩史オーナー
16年5月、スマイルグリコパークのグランドオープン記念セレモニーを行う、左から江崎グリコ渡辺武北海道東北菓子食品統括支店長、楽天銀次、三木谷浩史オーナー