「ええがな~」という感じですか。7日の阪神紅白戦。新加入のロサリオは打って走って元気だし、2年目期待の大山も固め打ち。西岡も結果を出すし、これが公式戦ならたまらんのう、というところです。ついでに宜野座はこのキャンプ初めてと言っていいぐらいの太陽が降り注ぎ、暖かくなってくれました。

 とはいえ、あまのじゃくの当方としては、結果の出なかった選手の表情を見ていました。特に注目していたのはプロ5年目を迎える陽川です。この日、白組の「5番左翼」で出場しましたが3打数無安打。惜しい打球もありましたが好結果は出ませんでした。

 なぜ陽川か。少し理由があります。先日、宜野座で、いまはスポーツ用品メーカーで働く喜田剛さんに会いました。虎党なら知っているでしょう。阪神、広島など4球団でプレーしたあの喜田剛です。

 11年限りで引退した喜田さんは昨季、久しぶりに新聞記事に名前が出ました。ウエスタン・リーグで本塁打を量産していた陽川が同リーグで阪神選手として最多タイとなる21本塁打を放ちました。05年に同じく21本を放っていたのが喜田さんだったからです。

 昨年のそのタイミングで喜田さんはこんな話をしていました。「ファームでの記録というのは複雑というか、あまり、うれしくないんですよね。だって下でそんな数字になる前に(1軍に)上げてほしいと思いますからね」。

 昨季、陽川は9月になって1軍に昇格。売りものの本塁打も放ちました。秋季キャンプでも奮闘し、昨年は呼ばれなかった宜野座の1軍キャンプに今年は最初から参加できているのです。

 だが現実は厳しい。日々、状況は変わっています。今年の課題とされるセンターラインの固定ですが、一、三塁手も含め内野手のレベル自体が高くなっています。内野手だけではない。捕手も外野も大変なのです。

 「ここならチャンスがあるのでは…」と簡単に言えるポジションはありません。ライバルが増えることはあっても減ることはない。

 「厳しいですよね、ホントに。そこはね」。日焼けした顔で陽川はぼそりと言いました。昨年から今季について「ラストチャンスだと思っている。それをつかめるようにしたい」と言っていましたが、簡単にはいきません。

 いい結果の出なかった選手はこれから頑張らんといかんね? 虎番キャップの取材の輪が解けた金本監督に聞いてみました。「そら、そうですよ。採点してますから。採点をね…」。厳しい競争はどこまでも続きます。【編集委員・高原寿夫】