あああああ、暑い…。

口を開ければ、同じことばかり言っている。うめき声が「ううう」になったり「暑い」が「熱い」に変わったりはするが、同じようなことばかりつぶやいて夏空の下でどんよりしている。「一番好きな季節は?」と聞かれて「夏! 8月!」と即答していた元気な子どもは、どこに消えたのだろう。暑い、熱い、アツい…。

うめきながら8月6日の大会開幕日、甲子園に行った。いろんな意味でアツさの象徴のような場所は、やっぱり暑かった。そんな中、大会本部の幹部が眉間にしわを寄せて、うなっていた。「いろいろ考えたのに…」と。

大会本部は今大会から暑さ対策としてクーリングタイムを導入。5回の3アウト成立時から10分間、スポットクーラーや送風機、口に入れるスポーツドリンクやアイススラリー(シャーベット飲料)などを使って体の深部を冷やす。炎天下で選手の健康を守るための、大会の目玉企画だった。ところが開幕試合では、6回以降に足をつらせる選手が複数出た。タイブレークとなった熱戦で、最後までグラウンドにいられなかった選手もいた。SNSなどで「10分間は長すぎるのでは?」などとクーリングタイムの是非を問う声も上がった。時間の長さも含め、専門家の意見もしっかり聞いて導入を決めた新企画だっただけに、想定外の事態に大会本部は困り果てていた。

だが大会が進むにつれ、出場校が10分間の使い方を工夫。まるまる使って体をひたすら冷やすのではなく、6回以降への準備をして“暑さ慣れ”してグラウンドに出ていくようにした。甲子園の球児に“新たな日常”が生まれた。

だが13日の第4試合と14日の全3試合は、クーリングタイムは中止。気候状況などによっては取りやめることができる、と決めてあり、台風7号が近畿に迫り、天候不良の予想が中止理由に。高温予想でなかったことも考慮された。中止は、天候悪化が予想される中での大会運営の“折衷策”だった。14日の3試合は、台風余波を受けることなく終了した。

クーリングタイムだけではなく、ベンチ入りメンバーの2人の増員や延長10回からのタイブレーク導入など、近年の甲子園では次々に新企画が導入される。今後も、新たな企画が導入されては、形を変えたり、姿を消したりするだろう。すべては100年後に途切れることなく第205回大会を開催するための試み。新企画がどう受け入れられ、もしくはつまずき、現場の役に立つものになるのか、ちゃんと見ておきたい。【堀まどか】

今大会から導入されるクーリングタイムで、選手が体を冷やしたり、水分を補給したりするベンチ裏のクーリングスペース。サーモグラフィーや冷風機、冷却用品などが用意されている
今大会から導入されるクーリングタイムで、選手が体を冷やしたり、水分を補給したりするベンチ裏のクーリングスペース。サーモグラフィーや冷風機、冷却用品などが用意されている
5回終了後、クーリングタイムの告知が
5回終了後、クーリングタイムの告知が