ボーアは「予祝弾」締めだ。主砲の期待がかかる新助っ人はこの日のオリックス戦、相手の失策でもおかしくない安打1本だけに終わった。15日の同カードには調整のため出場しない方向なのでオープン戦8試合は打率2割ジャスト、本塁打なしに終わった。

正直、満足できる結果が出たとは言えない。それでも試合途中で退いた表情は明るかった様子。そこで発したコメントに虎番記者たちは驚かされたようだ。

「紙一重のところだね。きょうは感触としては2本ぐらいフェンスオーバーしている感じがあった。徐々にいいコンディションで仕上がっていると思うね」

スコアブックを見直すと1回に右飛、5回に中飛。確かに打球は上がっている。しかし、それを受け「2本ぐらいフェンスオーバーしている感じがあった」というのは、なかなかに厚かましい感想ではある。

でも、そういうメンタルが結構、重要な気もする。なにしろ、まだオープン戦。ここで打ってもあまり意味はない。データの時代、打てるところ、そうでないところをハッキリさせる方がよくないという見方もある。もちろん、どこも打てなかったら困るけれど。

ボーアが楽観的なのは指揮官・矢野燿大の主義にも通じるかもしれない。矢野は常に「日本一を目指す」とは言わずに「日本一になると決まっている」と宣言するスタンスだ。

これは「予祝(よしゅく)」という考えから来ている。未来の喜ぶべき出来事をあらかじめ祝うことで、実際にその慶事を呼び寄せようという考えだ。特に矢野が新しく考案したものではなく、日本に昔からある思考だという。

そういう意味では外野フライを「紙一重で柵越えしていたね」というメンタルは悪くない気もする。大体「打てなかったね」と落ち込んでもあまり意味はないので暗くなるよりはいい。まあシーズン本番で結果が出ないときに、あまりあっけらかんとされても、どうかなとは思うが。

前日3月13日はランディ・バースの誕生日だった。66歳。「史上最強の助っ人」は初来日の83年、最初に安打が出たのはシーズン半月も経過した5月4日。初本塁打は同7日だった。出場12試合目、23打席目での1発だった。そこから来日3年目、85年の歓喜につなげた。開幕日未定という前代未聞の状況、ボーアの明るさに期待したい。(敬称略)