5球団ワーストの巨人戦10敗目か。巨人との戦力差は否定できない。ポイントで打てる打てないという勝負強さの違いもある。ホーム球場が違うとはいえ、失策数に象徴される守備力もまるで違う。巨人に勝つのは難しい。認めるしかない事実である。

そんなことは重々、承知した上で思ってしまうのだが、どうにも阪神は元気がないように見えて仕方がない。チームに、選手に、コーチに、そして指揮官・矢野燿大にだ。負けているから無理もないのかもしれないがキャッチフレーズ「It's 勝笑 Time! オレがヤル」はどうした? と思ってしまう。

マスクをしているから余計にそう思うのかもしれないがベンチ奥に陣取って、ジッとグラウンドを見詰めている姿は重苦しい。ベンチ前のラバーにもたれかかり、ときに厳しく、ときにニンマリしながら戦況を見つめている敵将・原辰徳の様子とはまったく違う。

「いろいろな監督を見てきたがあの人ほど声を出す監督はいなかったな。大体、監督はそんなに声を出さないのが普通だから。そこだけでも大きく違っていたよな」

これは03年に優勝した阪神の指揮官・星野仙一を評し、投手コーチだった佐藤義則が述懐した言葉だ。メディア、ファンが見ている通りの姿で闘将はベンチの中で暴れていた。

その星野を矢野は意識している。同時に「自分はあんな風にはできない」とも言う。「あんな風に」とはミスに怒りまくり、コーチ、選手をしかりとばし、チャンスでほえ、ピンチでカツを入れまくる。激情を示すそのやり方だろう。

できないのならどうするのか。叱責(しっせき)に慣れていない今の若い選手に対して、これを盛り立て、力を出させていこうというスタイルだ。この方が現代風だし、やり方は人それぞれ。それはそれでいい。

しかし、それならばやはりもっと元気を出してもらいたい。もちろん監督だけでなくコーチ、選手も同じだが。声出しが必須の高校野球とは違うが、やはり相手にのまれていては勝てないと思ってしまう。

ミスした選手をしかって交代させるのではなく、試合中であっても励まして汚名返上させるように持っていくのが矢野流ではないのか。そう思っている。苦しくても大事なのは自分のスタイルを貫くことだろう。難しいことではあるが。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)