あ~。わじわじする。NHK朝ドラ「ちむどんどん」風に言えばそんな感じだ。イライラ、モヤモヤ…。交流戦をキッカケに上昇気流に乗ってきたのにここでDeNA、中日と下位を争う2球団に4連敗とは。

6月最後の前日はDeNA戦は抑えの岩崎優が打たれ、7月頭のこの日はセットアッパー湯浅京己が決勝勝ち越し弾を食らった。「勝利の方程式」が連日、崩れた格好。弱い打線をカバーする投手陣が揺らいできたのは不安である。

ツキもない。8回、近本光司が盗塁成功と思ったら勢いがつき過ぎ、二塁ベースを離れてアウト。その後に安打が続いて得点しただけに「あれがセーフだったら」と思ってしまう。

エース大野雄大の登板回避で思わぬ「ブルペンデー」になった中日投手陣に1点だけに抑えられた阪神打線。結果的に指揮官・立浪和義の腹をくくった采配にやられた格好だが、結果論でなく、どうにもイヤらしさというかしつこさがないなあ、と感じる。

典型的なのが1回だ。代役の先発・藤嶋健人を相手にした1回。藤嶋がどこまで投げるかは結果次第だったろう。それでも中日ベンチにすれば「なるべく長く投げてくれ」と思っていたはず。そんなとき阪神はどう攻めるのか。

もちろん打ってKOすればいいが、そこは普段から中継ぎで投げる投手だし、それほど簡単ではない。まずは球数を投げさせ、揺さぶる。そして早々にマウンドから降ろし…という感じだろうと思った。

しかし中野拓夢が初球を打って右飛。島田海吏は2ストライクと追い込まれた後の3球目を打って二ゴロに倒れた。そして3番近本光司はこれも初球を打って左飛だ。それこそドキドキしながら登板したはずの藤嶋の前にわずか5球で1回の攻撃を終えてしまった。

これでは敵をホッとさせる。それがすべてとは言えないが、これで中日は「いける」と手応えを感じたかもしれない。早打ちは阪神打線の特徴、傾向だが相手にアクシデントが出ているときこそ、もっとしつこく攻めれば…と思った。攻撃のバリエーションがないという印象だ。

「まずは積極的にという、そこにプラスアルファの何かを。何か、こう合わせていかないと」。指揮官・矢野燿大もそのあたりを感じて振り返ったようだ。選手もそうだが、そこは当然、ベンチの仕事でもある。(敬称略)

中日対阪神 8回裏中日2死二塁、湯浅(右)はA・マルティネスに勝ち越し2点本塁打を浴びる(撮影・上田博志)
中日対阪神 8回裏中日2死二塁、湯浅(右)はA・マルティネスに勝ち越し2点本塁打を浴びる(撮影・上田博志)