これは「吉兆」か。そんな気もする勝利だ。コロナ禍で主力多数を欠いたヤクルトに連勝し、甲子園に乗り込んできた中日にエース青柳晃洋がいきなり先制された。しかし大山悠輔にマルテが不在と迫力不足を否定できない打線で北條史也が2回に1号逆転2ラン。梅野隆太郎、ロハスが本塁打した前日の展開が続いているようだ。

もっとも阪神打線が放った安打はその本塁打を含めてわずか3安打。攻撃面では決して褒められた内容ではなかったが1点差で勝てたことは大きかった。元来、投手力のチーム。本来の姿になったといえば、そうかもしれない。

吉兆と感じたのは、ここに来て「勝利の方程式」がそろい踏みしたからだ。7回にアルカンタラ、8回は湯浅京己、そして9回に岩崎優である。開幕前に期待していたケラーが調整不足で使えず、苦しみつつ試合を重ねていく中で結成された「方程式」がこれだ。

意外なことにこの3人が登板し、全員が無失点に抑え、チームも勝ったのは6月1日西武戦(甲子園)以来だそう。同23日広島戦(マツダスタジアム)でも3人は登板し、全員無失点だったが、その試合は引き分けている。

6月1日といえば交流戦真っ最中だ。その勝利から6連勝し、最下位からの反撃を開始したタイミングである。その西武戦も5-4と1点差勝利。さあ、ここからもう1度…と思わせる勝利ではないか…と勝手に思っている。

それにしても世の中、うまくいかないと思ったのはケラーの離脱だ。「開幕時は調整不足」と書いたが最近では本領を発揮し、13日巨人戦まで9試合連続で1安打も許さない好調ぶり。真っすぐに力も出てきて「これは当初予定のクローザーも」と思ったタイミングでの新型コロナウイルス感染。そんな日だっただけにブルペン3人衆のそろい踏みは意味があった。

これで開幕カードでヤクルトに3連敗して以来の「借金3」に戻した。13日に13-0で巨人に大勝。その後がどうかなと思ったが僅差での連勝。これで2位巨人に0・5ゲーム差に迫った。それが何かは分からないけれど、なんだか“雰囲気”のようなものは出てきた気がする。

「目の前を試合を全力で戦うというのが僕たちの野球なんで」。指揮官・矢野燿大はおなじみのセリフを繰り返したが、今こそ、それを実践してほしいときだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対中日 2回裏阪神1死二塁、北條史也は左越えに逆転2点本塁打を放つ(撮影・上田博志)
阪神対中日 2回裏阪神1死二塁、北條史也は左越えに逆転2点本塁打を放つ(撮影・上田博志)