「巨人さん、次は頑張ってや」なんて感じだったりして。コロナ禍で大変なことになっていた巨人はこれが後半戦初勝利。5日からは神宮球場でヤクルト3連戦だ。阪神がいくら勝ってもヤクルトが順調に走り続ければセ・リーグは盛り上がらない。5球団全部が「打倒ヤクルト」で行かなければ盛り上がらないのだ。

そのためにもここで巨人をたたきつぶしてしまうとよくない…。そんな“深謀遠慮”が働いたのかも。そんなことまで頭に浮かんでしまうような完敗だった。もちろん外野の立場でそう感じるだけで、チームがそんなことを考えるはずはないのだけれど。

完敗だ。先発ウィルカーソンが2回に1死も取れず5失点。阪神は投手力主体のチームなのでこれでは試合にならなかった。もちろん、それが無得点の理由にはならない。指揮官・矢野燿大も「ちょっと簡単にやられ過ぎたなというのはある」と言ったように淡々とやられていく姿はまるで面白くなかった。

それでも兵庫生まれ、明石商出身の山崎伊織が好投したということで終わらせるしかない試合だったかも。長いシーズン、負けるときはあっさり…という考えもあるし、ここは切り替えるしかない。

セ・リーグのこの3連戦はいわゆる「関東シリーズ」だった。「在京セ」の3球団主催試合が同時に行われるもので年に何度かあるもの。5日からはビジターになる巨人だが、神宮は東京ドームから電車でもすぐの距離だ。

おそらく巨人ナインがゆっくり起床する頃、阪神の面々は広島に向かう新幹線に乗っているはず。結構、しんどい。今更過ぎてクドクドは書かないが巨人、ヤクルト、そしてDeNAはもともと有利なのだ。

比べて「長期ロード」中の阪神など今月30日まで甲子園に戻れない。5日はセで最も長距離になる東京-広島間を移動しての試合だ。さらに広島3連戦が終われば、また横浜入り。関西に戻った後、関西-関東間の移動はさらにあと1回ある。

京セラドーム大阪での主催試合があるにしても本拠地で戦えない不利は否定できない。おまけにコロナ禍だし、ちょっと飲みに出てストレス発散…というわけにもいかないし、キツい日々が続くのだ。とはいえ、それも今更な話。広島は阪神以上に厳しい。だからこそ頑張ってくれ。世の中、みんな、しんどいのだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

巨人対阪神 2回裏途中で先発ウィルカーソンの降板を告げる阪神矢野監督(右)(撮影・鈴木みどり)
巨人対阪神 2回裏途中で先発ウィルカーソンの降板を告げる阪神矢野監督(右)(撮影・鈴木みどり)
巨人対阪神 7回表阪神1死、佐藤輝は中飛を打ち上げベンチへ引き揚げる。左は山崎伊(撮影・加藤哉)
巨人対阪神 7回表阪神1死、佐藤輝は中飛を打ち上げベンチへ引き揚げる。左は山崎伊(撮影・加藤哉)