厳しい。木曜のナイター、雨の可能性があったにもかかわらず今季最多観衆4万2614人が詰めかけた甲子園。その前で敵将・新庄剛志率いる日本ハムの強さばかりが目立った。阪神はまたも得点できない0封負け。交流戦でいきなり連敗、それも今季2度目の3連敗だ。これで本拠地試合での貯金もなくなった。

なにしろ打てない。そこに加え、この日は守りのミスも出た。4回に先発・西勇輝が「犠打野選失策」。野球に詳しくない人からすれば「何それ?」という説明の難しいミスだ。29日には遊撃・木浪聖也がその「野選失策」をおかしており、連日のややこしいミス。こういうのもめずらしい。

なにしろ「2点打線」だ。これで今季50試合を消化し、31試合が2点以下だ。それでも貯金をつくり、勝ってきた。もちろん、そこには投手陣、特にブルペンの力が大きい。だが、その救援陣も失点が目立ち始めた。もちろんそれぞれの仕事、役目があるが、これだけ打線が打たないと投手も苦しくなってくるのは普通に考えられることだ。

「いや、つながりってヒット何本打ってんねん。どうやってつながんのよ、おまえ。そんなんおまえ」。指揮官・岡田彰布のコメントも少々やけくそ気味になってきた。それも困るのだが毎試合、同じようではなかなか苦しいだろう。どうすればいいのか。

思い出すのは2週間前。16日の中日戦(バンテリンドーム)で岡田は思い切った策を取った。「4番・原口文仁」だ。就任以来、初めて大山悠輔をスタメンから外し、原口を起用したのである。そのゲーム、原口はダメ押し1号3ランを放ち、虎党を歓喜させた。

原口のことが脳裏に浮かんだのには別の理由もある。そう、次カードが千葉でのロッテ戦ということだ。虎党なら忘れもしないはず。もう5年前の19年6月4日だ。大腸がんからの再起を目指していた原口が234日ぶりに1軍公式戦に出場。9回に適時二塁打を放ったのである。

「そうですね。今はもう、あのときはいい時間を過ごしたな…という思いだけですけどね。でもボクもあれはこの時期の千葉だったなと最近、思い出してましたね」

交流戦前、原口と話した際にそんなことを言っていた。若い選手が多い打線に、物語のある男を、再びのスタメン起用でカツ…というのはどうだろうか。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)