西武に連勝し、阪神は交流戦最下位脱出だ。
指揮官・岡田彰布は「知らんわ、そんなん」と言ったが昨年の日本一、さらに12球団で人気NO・1のチームがテールというのは、やはり、据わりが悪い。まずは上位を目指す態勢に入ったと思いたいところだ。
ビーズリーの好投はもちろんだが打線がよかった。試合前まで7度の先発で白星のない高橋光成を攻め、3回に3点を先制。しかも7番・梅野隆太郎の安打から、つまり下位打線から上位につながっての得点だから、好調時のスタイルになってきた気もする。
終わってみれば7試合ぶり、ということは6月初の2桁安打で4得点。2試合連続で「2点打線」を脱出だ。慣れない4番・近本光司にも1本出たし…と思ったが野手で1人だけ無安打の選手がいた。5番スタメンの佐藤輝明だ。
4回の中飛は久々にいい当たりに見えたが、結局、4打数無安打。1軍復帰の前日は2安打したがこの日は音無しに終わった。何といっても存在感ではチームでトップクラスの選手。1本出ればムードも上がるのだが簡単ではない。
もちろん岡田もそこは理解している。虎番記者の囲みが解け、1人歩くところに聞いてみた。佐藤輝だけ、無安打でしたね-。
「おう。逆戻りしそうやな(笑い)。チャンスになったら、どうしてもボール球振るからのう…」。当たり前だが岡田はしっかり見ている。特に「あ~っ」というムードが甲子園に充満したのは5回だろう。4点目をあげ、なお2死一、二塁の好機。ここで1本出れば一気に試合が決まる場面だ。だが高橋が投じた低めのフォークを振って空振り三振に倒れた。
振り返れば西武戦は佐藤輝が過去もっとも輝いたカードかもしれない。新人だった21年5月28日、敵地で行われた西武戦で実に1試合3発をマーク。野球ファンに「猛虎の怪物」を印象づけたのだ。
あれから4シーズン。佐藤輝は苦しみながら奮闘を続けている。思い出すのは岡田の第1次政権時代などで4番を張った金本知憲のことだ。金本は他の打者が打つときは不思議にあまり打たなかった。その代わり、誰も打てないときにビシッと打ったのだ。
佐藤輝のような星の下に生まれた男が目指す道もそこだと思う。誰も打たない、打てないときに打つ選手になれ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




