貧打戦だった前日がウソのような打ち合いだ。一時は4点差を追いつかれた阪神は豪快に逃げ切った。「第110代4番」に座った森下翔太の先制2ランに加え、2度の満塁機で2度の走者一掃二塁打と派手な攻撃が目立ったゲーム。その中で効果的だったのは地味な「2つの四球」だった。
まず4回の先頭打者、3番・渡辺諒の四球だ。「よく言えばリフレッシュやし、悪く言えばなんか分からん」。指揮官・岡田彰布がスタメン外しをそう説明した佐藤輝明に代わり、サードでスタメン出場していた。その1打席目は初球を打って遊ゴロ。だがここはファウルで粘る。結局、グリフィンに10球を投げさせ、四球を選んだ。
そこから打線がつながり満塁に。そして「満塁男」木浪聖也が走者一掃の適時二塁打を放ったのだ。久々のスタメンで打ちたい気持ちは強いはずだが渡辺は粘った。その落ち着き、集中力が7回、打席でしっかり生きる。同点になっていたその回の1死満塁で今度は自分が走者一掃の適時二塁打を放ったのだ。
その満塁機も、やはり四球から始まっていた。1死から代打に出た原口文仁が高梨雄平から8球を粘り、四球を奪う。そして4回の再現のように打線がつながり、渡辺の一打に結びついていくのである。
「そうそうそうそう。そこが一番、大きいんよ、結局はな」。岡田も四球を絡めての攻撃にめずらしく満足そうに話した。第2次政権の就任以来、口をすっぱくしてきた四球の重要性。優勝戦線に残れるかどうかの瀬戸際とも言える一戦で、あらためてそこがクローズアップされたのは意味があるかもしれない。
残念ながらチーム打率は試合前までワーストの2割3分4厘。本塁打数も広島のワースト39本に次ぐ45本だ。それでもこの位置にいるのは投手陣の踏ん張りによるものだが四球だけはセ・リーグ最多をキープしている。
広島が負け、これで自力優勝が復活だ。「(DeNAは)東(克樹)やし、あるおもてたよ」と広島の敗戦可能性もある程度、予想していた様子の岡田。自力V復活については「そんなん関係ないわ。どこで計算しとるんよ」。佐藤輝を9連戦ラストの14日巨人戦にはスタメン起用することも明言した。ここは渡辺、原口が見せた集中力が佐藤輝を始め、チームすべてに浸透することを期待したいのである。(敬称略)
【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




