なかなかにショッキングな敗戦だ。4回にプロ初の満塁弾を放った巨人・浅野翔吾。言うまでもない、22年のドラフトで指揮官・岡田彰布が巨人監督だった原辰徳と指名権を巡って一騎打ち。「伝統の一戦・くじ引き版」を戦った選手だ。

結果は原の勝ち。その岡田は、昨年、開幕前のテレビ番組での企画にセ・リーグの監督全員とともに出演した際にこんな“ぶっちゃけ話”をしていた。「ドラフトで負けたわけですけど。外してよかったですよ。はっきりいうて」-。

浅野の外れ1位で獲得できた森下翔太が、オープン戦期間を通じて想像以上に使える手応えを感じていたのは最大の理由ではあった。それでも、そういうことを、わざわざ原がいる前で言うところに岡田の負けず嫌いが出たな、と思ったものだ。

その因縁の浅野に、この大事な局面で痛打、それも満塁弾を浴びてしまった。岡田の心中、穏やかではないだろう。その結果、及川雅貴はもちろん、捕手の梅野隆太郎まで代えるのだからイライラが伝わってくる。敗戦後は虎番キャップたちの囲み取材にも応じず「コーチに聞いてくれ」とだけ、言った。

打線も今季“ノーノー”を記録された戸郷翔征の前に三塁すら踏めず、完封投球を食らった。12日も三塁ベースを踏めずに0点で終わっていたし、前日こそ勝ったが、このカード全体で見て、明らかな負け越しと言うしかないだろう。

巨人にすれば、今後に向け、弾みのつく1勝と位置づけるかもしれない。それは当然である。しかし阪神にしてみれば、そういう“内容”に影響される必要はない。というか、引きずっている場合ではないのだ。

4回、及川が崩れたのは2死からの四球が発端だった。投手はやはり四球に注意と再認識させられたはず。打線については、戸郷から3度、先頭打者を出しながら何もできなかったことなどは課題だろう。

ダメなところが出たから負けた。浅野に打たれようが誰に打たれようが負けは負け。ましてや、もう終盤だ。岡田が「後半は勝ち負けや」と言うように、負けた理由を反省、分析して、引きずらず次に臨むしかない。広島がサヨナラ勝利で再び自力優勝が消えた。だが大事なのは目の前の相手だ。次は中日、ヤクルトと下位球団との対戦が続く。ここをしっかり戦うことが重要なのだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

巨人対阪神 ベンチで厳しい表情を見せる岡田監督(撮影・上田博志)
巨人対阪神 ベンチで厳しい表情を見せる岡田監督(撮影・上田博志)