「ジャンボ鶴田 試練の十番勝負」とか藤波辰巳の「飛龍十番勝負」とか、昔のプロレスは血湧き肉躍るキャッチフレーズで子ども心にわくわくさせたが、それでいけば、いまの阪神は「猛虎 運命の十番勝負」という感じか。この中日戦を含めた10試合は文字通り、ペナントの行方を左右する戦いである。
その初戦、敵地での中日戦に阪神は圧勝した。しかも難敵・高橋宏斗を攻略しての勝利だ。これは大きい。本当に大きいと思う。先のことは分からないが残り9試合に弾みのつく1勝になったことは間違いない。そう思う理由は16日の試合後にさかのぼる。
甲子園7連戦の最終戦となった同日のヤクルト戦を勝利で終え、通路を引き揚げていた指揮官・岡田彰布と少しだけ話した。内容は「巨人は中日相手に勝ってますなあ…」という感じだったと記憶する。そのとき岡田はブツブツとこんなことを言ったのだ。
「ふん。高橋よなあ。おまえ。中5日でなあ」…。正直、一瞬、何のことを言っているか分からなかった。だがあとでじっくり検討すると、こういうことだろうと想像できた。つまり10日ヤクルト戦に勝利した中日・高橋宏は「中5日でこの日の巨人戦に投げられるだろう」という見立てだ。
高橋宏は現在12勝でギリギリ最多勝の可能性がある。だから登板するなら早い時期に投げていけばいいのではないか…ということだ。わざわざ中7日で阪神に投げてこなくてもいいのでは…というボヤきも含まれていたと思う。
今季、高橋宏にはバンテリンドームでは7月12日には8回を無失点に抑えられ、負けている。今月3日は甲子園で7回で3点を取り、雪辱しているがそれでもQS(クオリティースタート)だ。5月14日の豊橋でも勝敗はついていないが7回2失点。難敵なのは否定できない。
だからこそ岡田も前日の移動日に高橋宏について「甲子園とバンテリンはまた違うからなあ」とつぶやいていた。勝ったとはいえ、この日の高橋宏は6回3失点でQSを許した。それでも阪神打線は先に得点し、試合を有利に進めたのだ。
内容も適時打で先制すると内野ゴロでしぶとく加点し、勝ちパターンに岡留英貴、島本浩也を挟む継投で岩崎優、石井大智を温存できた。首位・巨人はドローで「M9」を点灯させたが阪神に流れは来ている。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




