そうか。ええやんか。こっちも同じ思いやで。心の中で、つぶやいた。3日連続で試合予定のない阪神は、この日も甲子園で全体練習。指揮官・岡田彰布は前日に次いで虎番キャップたちを前にあれやこれや、と話した。そこで出た話題が心に残った。

「おう。アイツなんか特によお分かってるよ。ソフトバンクとしたいらしいから」。27日の広島戦(マツダスタジアム)で先発する左腕・大竹耕太郎についての話が出たとき、岡田はそう言ったのである。

「ソフトバンクとしたい」。難しい“岡田弁”ではないが念のため記せば「ソフトバンクと対戦したい。投げたい」ということだ。もちろん今後に予定される日本シリーズのことだ。大竹にすれば現役ドラフトで移籍する前の古巣。いろいろな思いがあるだろう。

こちらも同じだ。阪神-ソフトバンク。この顔合わせを聞けば中高年のファンなら胸が高まるはず。言うまでもない03年、闘将・星野仙一率いる阪神と敵将と呼ぶにはあまりにも偉大な王貞治率いるダイエー・ホークスとの激闘だ。

もう21年前になるが今でも昨日のことのように覚えている。私的で申し訳ないが、当時、40歳の虎番キャップ。阪神は圧倒的な強さでシーズンを勝ち抜き、18年ぶりのVを決めた。当時、セ・リーグにクライマックスシリーズ(CS)はなく、パ・リーグの代表となったダイエーとの頂上決戦になったのだ。

甲子園では阪神が3勝、福岡で4敗する結果となり、日本一は逃した。両軍とも熱いファンに支えられる本拠地で全勝した「内弁慶シリーズ」と呼ばれる。そこで星野は勇退し、岡田に政権を譲った。そして岡田は指揮官2年目の05年にリーグ優勝をはたすのだ。

少しホークスの話題が出ただけで思いが一気にあふれ出す。そのソフトバンクは圧倒的な強さで先日、4年ぶりにリーグ制覇。CSが待つが、おそらく勝ち抜くだろうと見ている。

そして阪神だ。ここまで来て優勝の可能性はわずかながら残る2位。はっきり言って逆転連覇は相当、厳しいがCS進出は決定し、シリーズ出場への挑戦権は残るのだ。そう思えば、楽しみはまだ続く。べんちゃらを言う気はないが、やはり、岡田の阪神はたいしたものだ。まずは残り5試合、キッチリした戦いを見たいと願い、マツダスタジアムに足を運ぶ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

キャッチボールする阪神大竹(撮影・前田充)
キャッチボールする阪神大竹(撮影・前田充)