ある巨人担当記者がこんなことを言っていた。「阪神戦になるとおかしくなっちゃうんですよね。それまで頑張ってても」。そう首をひねるのも分かる。6回からの4イニングで阪神は9得点。終わってみれば10-1の大勝だ。「おかしくなっちゃう」にもほどがある。プロでこんな展開も、まあ、めずらしい。
序盤は復活を期す相手エース・戸郷翔征の前に抑え込まれていた。1点を追う4回2死まで阪神打線は無安打。「まだ早いとはいえ、これはちょっと、ヤバいかな」-。そんな風に思っていたら森下翔太がドカン! である。
猛虎期待の若武者が一発で流れを変えたのは間違いない。それでも戸郷は粘っていた。同点になった5回も3者凡退に切り、ここまで1安打のみ。だが、そこでダメージを与えたのは6回、先頭で打席に立った小幡竜平の一打だった。
「一打」と書くとカッコいいが言葉のイメージとは違う当たりだ。低めの変化球にバットの先が当たると、バックスピンがかかったように三本間の本塁よりでストップする。ゴルフでうまい転がしのアプローチ・ショットのようだった。
続いて投手のビーズリーがビシッと犠打を決める。1死二塁で1番・近本光司は進塁打の二ゴロ。2死三塁になって中野拓夢の当たりは巨人のサード・岡本和真の焦りを呼ぶ安打&送球ミスで勝ち越し点だ。そして一発で乗った森下の適時打と、まさに流れるような攻撃で2点を上げるのである。
それにしても長打で崩されるなら分かるが内野安打で、とは。つくづく野球は恐ろしいと思う。そんな話を総合コーチ・藤本敦士がしていた。「それが野球なんですよね。あれは投手がガクッときますからね。ああいうのがこたえるんですよ」。その言葉通り、戸郷は3失点で降板となったがそれだけでなく、続く投手陣がみな崩れてしまった。
大阪桐蔭出身の横川凱はここまで頑張っていたが、7回に登板すると阪神に傾いた流れに逆らえず、押し出しを含む4四球で4失点。堀田賢慎もしかり、である。繰り返すが野球はこわい、と思うのだ。
あえて言えば、こんな試合の後は打てなかったりすることが多い。「昨日の点数、ちょっと置いとけや」。虎党がそう言うのもよく聞く話だし、6日の2戦目も油断せず、しっかり打ってほしい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




