本拠・甲子園で今年初のオープン戦である。しかも相手は昨年、日本シリーズで激突し、日本一の夢を砕いたソフトバンクだ。福岡で1勝1敗として戻った甲子園で3連敗を喫したのは記憶に新しい。だからこそオープン戦とはいえ、圧倒できたのは悪くない感じだ。2桁安打で5-0。両軍、WBC代表に主力選手を供出していることを考慮しても、いい出だしと捉えたい。
「いい部分も多く見られたかなと。いい最初のゲームになったのかな、と思いますけど」。就任以来、慎重な物言いを続ける指揮官・藤川球児もそういう評価を下したゲームだった。石井大智の穴を埋めるべき若き救援右腕たちが好投、期待の育成捕手・嶋村麟士朗も活躍と、いい部分が目立ったのは事実だろう。
そんな中で「おや? 」と思わせたのは新加入のディベイニーだ。打順の5番はともかく、三塁でのスタメン。沖縄ではずっと遊撃手の位置で練習をしており、オープン戦では遊撃とDHだった。そんな彼の「甲子園デビュー」がサードだったのは、正直、驚いた。
「そのあたりは、もちろん、元々彼が持っているポジション適性でもありますので」-。虎番記者から飛んだその質問に、球児はそういう答えだった。それはそうなのだが、ここまで三塁で起用する気配は見えなかったのも事実だ。
そのディベイニーは失策で目立ってしまった。6回、1死一塁の場面。野村が放ったライナーをはじいて落球。一走・栗原は帰塁しかかっていたので、二塁に投げれば良かったかもしれない。だが、焦って一塁に送球。野村も生かしてしまった。落球に判断ミスが重なった形である。
「ただ単純にエラーしてしまったっていうところなので、もっとうまくならないとなっていうところですね」。新外国人はそう反省した。一生懸命さ、性格の良さは定評があるけれど、打撃でもこの日は3打数無安打1三振と結果が出なかった。
「連覇」という言葉を使わず、新たなチームづくりに取り組む阪神。ディベイニーにしても、これから日本野球のスタイルに慣れていけばという部分は残る。佐藤輝明が戻れば三塁は彼なので、起用されるなら遊撃だろう。ライバルの多いポジションでもある。そこで文句なしにスタメンを張るだけの“モノ”を、開幕までに見せなければならないのも、間違いないところだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




