大分大会は準々決勝2試合が行われ、県内屈指の進学校、大分舞鶴が5-2で日田林工を下し、91年以来のベスト4に進出した。最速140キロのエース左腕、益川和馬投手(3年)が「クレバー投球」で翻弄(ほんろう)。最後の打者を空振り三振に打ち取ると、こん身のガッツポーズが出た。2失点で夏初完投。「球数を抑え、うまく意表を突く投球ができた」と声を弾ませた。

 19日の藤蔭との3回戦では8回を投げており、中1日で迎えた準々決勝は「前回160球ぐらい投げたのでテンポよく球数を減らすことを考えました」。序盤から「苦手なようだったので」と90キロ台のスローカーブを多投した。その上で試合途中から自信を持つスライダー中心に切り替えて目線を変えた。7安打7奪三振での完投。花田修監督(50)も「クレバーで、俺が抑える(という)責任感でよく投げた」とたたえる力投だった。

 県NO・1左腕と評される。大東中3年の春の県大会でベスト8入りするなど県内では名の知れた存在で、私立強豪校からの誘いもあった。だが、東京6大学入りも見据え、大分舞鶴を選択した。

 23日の準決勝では、3月の練習試合で敗れたシード明豊へのリベンジに燃える。試合は敗れたが、先発の益川は6回無失点だった。「低めに投げれば打たれない。最後の夏はしっかり勝つ」。4番も務める大黒柱が、自分を信じ難敵に立ち向かう。【菊川光一】

 ◆益川和馬(ますかわ・かずま)1999年(平11)11月24日、神奈川県生まれ。野球は小4で明治少年野球クラブで始める。大東中では軟式野球部に所属。大分舞鶴では1年夏からベンチ入りし、2年秋からエース。球種は直球、スライダー、チェンジアップ、カーブ、ツーシーム。176センチ、75キロ。左投げ左打ち。