東海大菅生(西東京)は松本健吾投手(3年)が完投し、元中日の若林弘泰監督(51)に甲子園初勝利をプレゼント。東京勢は夏通算170勝目を挙げた。

 背番号「1」は、威風堂々と腕を振った。9回、先頭から連打を浴びたが、東海大菅生・松本は冷静だった。連続三振で流れを止め、9回1失点で完投した。「夢がかなった。気持ちいいです」と元中日の若林監督に甲子園初勝利をプレゼント。同監督を「今日はよくやった、と初めて褒めてやりたいです」と感激させた。

 結果で進化を証明した。常々、若林監督から「ボールは一流、心は三流」と言われ続けた。同監督が「けちょんけちょんに」と振り返ったゲキに、涙を流した日もあったが、負けなかった。寮の自室に「オレはエースだ」と書いた紙を貼って、自らを鼓舞。元中日で東京青山シニアの宮下昌己監督(52)直伝のフォークを改良し、西東京大会前にスプリットを勝負球に加えた。

 修正能力も上がった。序盤は球が荒れたが、「打たせて取る」ことで修正。尻上がりに調子を上げ、7三振を奪った。背番号「11」だった西東京大会で清宮擁する早実、日大三を撃破。「日本を代表する打者と戦ったことは自信になってます」と力に変えた。「監督に恩返ししたいです」。次戦もまた、監督が認める快投を誓った。【久保賢吾】