花咲徳栄(埼玉)が延長11回の熱戦で東海大菅生(西東京)を下し、埼玉県勢初の夏の頂点に王手をかけた。先発の綱脇慧投手(3年)が3回1/3を4失点、守護神の清水達也投手(3年)が7回2/3を2失点と、必勝リレーを大会5試合すべてで成功させ、初の決勝進出を決めた。今大会ただ1人150キロをマークした清水は、今日23日の決勝で、9月のU18W杯ではチームメートとなる広陵・中村を抑え込んで優勝すると意気込んだ。

 「ヨッシャーッ!」。花咲徳栄の大魔神、清水がマウンドでほえた。11回裏、東海大菅生最後の打者・田中を三ゴロに仕留め、女房役の須永らと抱き合った。

 清水 何が何でも抑えてやろうと思いました。9回に同点に追いつかれてしまって。最後はやっと終わったと思いました。

 4-4の4回1死二塁。いつもより早く守護神の出番がやってきた。それでも「早い回の登板は想定内」(清水)と動じない。後続を最速148キロ直球で打ち取りピンチを脱出。2点リードで迎えた最終回に不運な内野安打などで同点に追いつかれたが10、11回を再び抑え、埼玉県勢としては93年の春日部共栄以来24年ぶりの決勝進出を決めた。

 7回2/3を6安打2失点に抑え甲子園初勝利。「綱脇-清水」の勝利の方程式は埼玉大会決勝からこれで6連勝となった。岩井隆監督(47)が「今年のテーマ」とこだわり続ける2人の継投でついに頂点まであと1勝に迫った。

 決勝の相手は大会新記録の6本塁打を放つ中村を擁する広陵。

 清水 中村君はすごいバッター。でもホームランを恐れるんじゃなくてガンガン攻めたい。自分のベストボールを自信を持って投げれば絶対に打たれないと思う。狙い球を絞ってフルスイングする印象。とにかく彼との対戦が楽しみだし、楽しみたいです。全部出し切るつもりで投げます。

 3回戦の前橋育英(群馬)戦で今大会最速の150キロをマーク。鋭いスプリットを決め球にU18日本代表に選ばれた。中村も同代表に選出されておりカナダで行われるW杯ではバッテリーを組むことになる。

 決勝進出にお立ち台で涙を流した岩井監督は中村について「よく飛ぶなという印象。ホームランは1本くらいに抑えたい」と話した。99回目の夏。埼玉県勢悲願の初優勝へ、広陵、そして中村という大きな壁を乗り越えてみせる。【福田豊】