中村の最後の夏は悔し涙で終わった。夏初優勝を目指した広陵(広島)は、花咲徳栄(埼玉)に完敗、準優勝に終わった。中村奨成捕手(3年)は5打数3安打。22日の準決勝で作った大会最多6本塁打、17打点、38塁打の3つの新記録に続き、この試合で19安打、6二塁打と2つの大会記録に並ぶ活躍を見せたが、頂点にはたどり着けなかった。

 広陵・中村の悲願は、あと1歩及ばなかった。4-14の9回2死満塁、6番佐藤の打球が高く上がった。二塁走者の中村が三塁を回ったところで、右翼手が捕球し、試合終了。ベンチ前に整列すると、こらえたはずの涙を抑えきれなかった。

 「全然満足していない。勝って記憶と記録に残りたかった」。準決勝で1大会6本塁打の新記録をつくった中村も、チームとして4度目の挑戦だった夏頂点に導けなかった。9回、左翼線へ今大会19安打目となる二塁打を放つなど、チーム唯一の3安打。だが、打点も得点もなく、こだわり続けた「勝ちにつながる1本」にはならなかった。