全国高校野球選手権100回の今年、学校創立100年目の三島南(静岡)は、あと5勝に迫った「夏の県大会通算100勝」を意識しながら甲子園出場を目指す。中学時代に侍ジャパンU-15を経験したエース鈴木健斗(3年)が復調。学校関係者、保護者、地域、OBが、全力でチームをバックアップしている。

 鈴木健が100年目の夏に合わせて、調子を取り戻してきた。130キロ後半の直球と多彩な変化球が冴えている。「去年の夏は2番手でありながら、ケガで投げられず、先輩たちの力になれなかった。今年は自分がしっかりと投げ、恩返しをしたいです」。

 昨秋、チームは県16強に進出した。自身も最速137キロをマークし、勝利に貢献した。だが、冬季練習では球速を求めなかった。修善寺中時代、侍ジャパンで140キロ近い直球を投げるライバルたちを見てきたからだ。「(137キロは)強豪校では普通の球速。それなら、制球力とキレを身につけようと思いました」。

 満を持して臨んだ春だったが、初戦の中部地区大会2回戦で、富士市立に敗れた(1-2)。制球力とキレにこだわるあまりに、球速が130キロ前後にダウン。変化球との球速差がなくなり、結果的に打ちやすい投手になってしまった。

 球速を取り戻すべく、フォームを修正。参考にしたのが、自分の動画だった。母親が昨秋から撮影していた約20試合分をチェック。次第に投球時の左手が下がっていたことに気づいた。そして、意識してグラブ位置を高くして投げると、球威が復活。4月の練習試合では、静岡大成から85球、3安打完封勝利を飾り、今月3日の百合丘(神奈川)戦でも、98球2失点完投で乗り切った。「球速が戻り、制球もまとまったままでした」。

 くしくも同校は創立100年目。夏の通算勝利は95勝で、準決勝進出の5勝を加えると100勝達成になる。だが、鈴木健は「100勝は通過点。練習を見てくれるOBのためにも、100回目の甲子園に出場したいです」と言った。復調したエースの目には、それだけの自信がみなぎっている。【大野祥一】