学法福島の4番エース相曽(あいそ)友輝(2年)が、「どすこい投打」で勝利を導いた。この冬に約1カ月間野球部を離れ、強豪の同校相撲部に弟子入り。磨いた柔軟性やパワーを生かし、打っては8回裏の3点適時三塁打を含む3安打3打点。投げても10安打を浴びながら粘って完投し、6-4で郡山東に逆転勝ちした。

 学法福島の2年生右腕・相曽に軍配が上がった。初回、いきなり味方失策で苦しい立ち合いも最少失点。打線が4回まで8残塁と好機を生かせなくても、8回まで2失点に封じ、逆転を待った。最終回に2点差に詰め寄られたが土俵際で踏ん張り「勝ててホッとしました。2年生中心のチームなので、出ていない3年生の気持ちも背負っています」。最後の打者を左飛に打ち取ると、安堵(あんど)の表情で門西大和捕手(3年)とハイタッチした。

 投打における成長を導いたのは、この冬の相撲部入門だった。十両若隆景(23=荒汐)らを輩出した強豪。四股、すり足、股割りなどの基本動作に加え、100キロ超の部員と稽古も行った。「一番は柔軟性が高まりました。野球につなげられるようになっています」。指すらつかなかった前屈も、今では手のひらが楽にペタリとつく。投球の歩幅も約1足分広がり、球速は133キロから138キロに5キロ増となった。

 相撲仕様の筋トレと、重い部員を押すことで、低い重心からのパワーも養えた。「8回のタイムリーは外角低めの変化球。下半身で粘って、引きつけて逆方向に打つ感じは成果が出たと思う」。右のおっつけで2死満塁から右中間へ走者一掃の三塁打。公式戦初の4番起用に応えた。

 昨秋、今春と2季連続で今大会の“大関(第2シード)”福島商に敗れた。「先を見すぎてもダメ。一戦必勝で上まで行きたい」と言葉も力士のように謙虚。埼玉・新栄中3年時に墨田シニア(東京)の先輩が聖光学院に健闘した試合を見て、「聖光を倒したいと思った」と入学を決断。大関撃破だけでなく、夏12連覇に挑む“横綱(第1シード)”からの金星も狙う。【鎌田直秀】