川口市立(南埼玉)が、7-4で埼玉栄に勝利した。先発したサイドスロー星山祥輝投手(3年)が9回9安打4失点(自責2)と粘りの力投。今秋ドラフト候補の米倉貫太投手(3年)を擁する埼玉栄に競り勝った。OBの巨人斎藤雅樹投手総合コーチ(53)の動画を見て、投げ方を研究した成果が出た。校名も統合で、今春から川口市立に変わり、新たな歴史の1ページを刻んだ。

 星山はグラブをたたいて喜びを表した。9回裏1死一塁、右打者の懐に直球を投げ込んだ。サイドスローからの投球。切れ味鋭くシュートする球で詰まらせた。狙い通りの併殺打だった。「たくさんの地域の方が応援してくださり、100%の投球ができた。素直にうれしいです」と笑った。

 それまでのオーバースローから「昨年の10月に長井監督と鈴木部長に相談して横投げに変えた。それからは大先輩の映像を見て参考にしています」という。大先輩とは元巨人のエースで市川口OBの斎藤雅樹氏だ。繰り返し映像を見て研究。腕が遅れて出てくる投球術を身に付けた。

 この日の最高気温は35度を超える猛暑。星山の母美絵さんは試合中に熱中症で倒れてしまった。星山も「連投の疲れか初回からばてていた」と話すが、表情や態度には見せなかった。「小さい頃は愛知県の自然の中で育ち、朝から日没まで走り回った。体力には自信があるんです」。冬場には2、3日置きに200球の投げ込みを行うなど夏に備えた。その結果、春季大会から勝ち試合は全て完投。底なしの体力がついた。

 同校は今春、市川口など3校が統合し、校名を川口市立に改めた。それでも伝統の縦じまのユニホームは変わらない。「合併しても市立川口の伝統は変わらない。特に意識はしていないが、僕らが1期生になるので、さらに強い川口市立の伝統を作っていけたら」という。斎藤雅樹氏の代は県準優勝。「憧れの先輩を超えたい。甲子園を目指して頑張ります」。星山は終始笑顔だった。【久永壮真】

 ◆星山祥輝(ほしやま・しょうき)2000年(平12)8月15日生まれ、愛知県岡崎市出身。小学2年から岡崎南クラブで野球を始め、小学4年で親の転勤で埼玉県に転居。花栗コンドルズに所属。中学では安行中学軟式野球部に所属した。直球は120キロ中盤。その他の持ち球はカットボール、スライダー、スプリット。家族は両親と2人の姉。183センチ、72キロ。右投げ右打ち。