全員バスター打法の佐賀商が強打の唐津商に打ち勝った。1番も4番も関係ない。全員が打席で1度バントのように構え、そこからコンパクトに振り抜いた。森田剛史監督(45)は「今年は打つチームではない。批判も受けますが、形はどうであれ勝つためにやりました」。3年前から本格導入したバスター戦法。唐津商エース伊藤諒成投手(3年)の直球とツーシームの速度があまり変わらないため、低めを見極め大振りしないよう、バスター打法を指示した。今大会は春の王者東明館を撃破した3回戦に続く2度目の必殺技だった。

 空振りを極力減らし、ゴロを打つ。ジワリジワリと攻め、常にリードしたまま試合を運んだ。1点リードの8回には2死一、二塁から4番古賀輝希外野手(3年)がバスターでチェンジアップをすくいあげ、右翼手の頭を高々と越える2点適時二塁打を放った。「打撃には自信があります。入部してずっとバスターの練習もしてきましたから。バスターで本塁打も打ちますよ」と笑った。

 古賀輝は4月の練習試合で右肩を脱臼。夏のメンバーから外れそうだったが、大会直前の練習試合で本塁打を打ち背番号「14」で滑り込んだ。今大会は4番で引っ張った。94年の甲子園は満塁弾で全国制覇。森田監督は「あんなことはありませんから。全員野球で」と話す。ひと味違う姿で佐賀商が10年ぶりに甲子園に乗り込む。【石橋隆雄】

 ◆佐賀商 1907年(明40)佐賀市立商業として創立。48年から現校名。生徒数715人(女子422人)。野球部は21年(大10)創部。部員57人(マネジャー2人)。夏の甲子園は16度目、94年大会で初優勝。春は6度。主なOBは元西武新谷博、日本ハム田中豊樹。所在地は佐賀市神野東4の12の40。吉松幸宏校長。

◆Vへの足跡◆    

1回戦7―2敬徳

2回戦10―0唐津西

3回戦9―3東明館

準々決勝3―2鳥栖

準決勝6―3有田工

決勝5―2唐津商