2年生エースの右腕中森俊介が投打に活躍し、明石商が3年ぶりのベスト8進出を決めた。

初回、スクイズで無安打ながら先制に成功するも、先発の右腕宮口大輝(3年)が制球に苦しみ、2回途中2安打3四死球1失点で降板。1回戦で10奪三振1失点完投の中森が2番手でマウンドに上がった。

「低め低めを意識した」という中森は、直球とスライダーのコンビネーションに効果的なチェンジアップを交えて、相手打線を翻弄(ほんろう)。7回途中まで打者20人を4安打7奪三振無失点に抑えた。4回には、1回戦で記録した最速をさらに1キロ更新する147キロを計測した。

打線は2回に5番岡田光内野手(3年)の本塁打など、打者9人で4得点と勝ち越し。3回、この日初打席の9番中森がうまく合わせた当たりはいい角度で中堅方向へ。右から左へ強烈な浜風が吹く中、打球はバックスクリーン右に飛び込んだ。自分でも「ビックリです」という1本は、高校通算1号で公式戦初安打。大舞台での勝負強さも見せつけた。中軸も打てる打力を評価している狭間善徳監督(54)は「あの打球は見事だった」と振り返った。

試合は8回にも打者10人で4得点など、終わってみれば13安打13得点。中森の後を3投手でつなぎ、大分を圧倒した。

中森は自己最速の更新にも「全然、意識していなかった。手応えは無かった」。指にかかってしまい、ボール球になったことを反省していた。初本塁打には「入ってくれて素直にうれしかった」と笑顔。冬に取り組んだ背筋などの体幹強化が実を結び「その分、伸びてくれた」と話した。

中森は1年夏から甲子園のマウンドを経験し、自己最速の145キロを計測。今大会では1回戦で146キロ、2回戦で147キロと大舞台で成長を続ける。「上半身と下半身の兼ね合いがしっかりすれば」と、さらなる球速アップへの課題も自ら理解。将来は「160キロを投げたい」と宣言し、その理想は「(エンゼルス)大谷翔平選手」。同じ右投げ左打ちである二刀流の大谷も甲子園で投打に活躍した。大きな目標へ、中森が聖地で進化を続ける。