<センバツ高校野球:習志野4-3市和歌山>◇31日◇準々決勝

逆転した勢いが一瞬にして止まった。1回、市和歌山が4連打し、なおも1死一塁。ここで走者の米田航輝捕手(3年)が、習志野・兼子将太朗捕手(3年)のけん制に追い出され、挟殺された。「セーフティーバントのサインが出て(塁を)離れすぎました」。米田が悔やんだ。

押せ押せムードの中、市和歌山は意表を突くセーフティーバントを企てた。山田佳吾左翼手(3年)はその初球、外角のスライダーに手を出さず、見送った。「ファウルでもいい、と言われていた。外に変化球が来たんで、無理することはないと思って」。そんな山田の腹づもりは、塁上の米田に伝わらない。勢いづいていた分、離塁が大きくなった。山田も「走者と、かみ合ってなかったです」。三振に倒れ、1回の攻撃は終わった。

走者の動きを逃さなかった兼子が振り返った。「いつも塁(走者)を見ろ、といわれています。練習の成果が出ました。1回戦は緊張して見えなかったけど、3試合目なんで」。3点は許しながらも、遠投100メートルの肩が冷静に走者をとらえ、市和歌山にあった流れを止めた。【米谷輝昭】