<センバツ高校野球:東邦6-0習志野>◇3日◇決勝

野球記者歴40年の米谷輝昭記者のコラム「ヨネタニー'S・ファイル」。試合の明暗を分けたワンプレーに注目します。

   ◇   ◇   ◇

外野に飛んだ初めての飛球だった。3回2死。習志野の小沢拓海二塁手(2年)が右前に放ったライナー性の打球だ。ところが、落下地点には東邦の坂上大誠右翼手(3年)が守っていた。小沢は「打った瞬間、(右翼手が)あそこにいると気づいた。落ちると思ったら、いたんです」。

坂上は自分の判断で定位置より5メートルほど前に出た。さらにベンチの指示で4メートル前進した。「9番打者で石川の球威なら、右に飛ばない。ゴロなら右ゴロにするつもりでした」。6回、右中間の飛球を捕った松井涼太中堅手(3年)が「データがあるんで、大胆に守れるんです」と説明した。

平成元年のエースだった山田喜久夫投手の長男、斐祐将(ひゅうま)捕手(3年)らベンチ入りできなかった部員が、打球傾向を分析した。松井がいう。「夜遅くまでかかってやってくれた。感謝しながら守っていました」。

習志野の外野飛球はわずか3本。すべてヒット性だったが、大胆なポジショニングで打ち取った。「ヒットだと思った打球を捕ってくれました」。石川昂弥投手(3年)の第一声も、外野陣への感謝の弁だった。【米谷輝昭】