おじいちゃん、見てますか-。3年ぶりの夏甲子園を狙うクラーク(北北海道)は、2年生エース右腕、浦崎翔が深川西との空知地区代表決定戦で8回2安打無失点と快投。4年連続の北北海道大会進出を決めた。

最速143キロの直球とスライダーをコーナーに投げ分け、公式戦自己最多の11奪三振。ミスしても笑顔を絶やさないニコニコ投法で白星を呼び込み「初球の入り方だけを気をつけた」と振り返った。

中学2年時に他界した祖父武人さんは、函館有斗(現函館大有斗)の2年生だった61年の南北海道大会決勝で札幌商(現北海学園札幌)に1-2で敗れ、甲子園まで一歩届かなかった。兄裕太さん(20)は駒大苫小牧に進学した際、祖父から「常に全力で」と書かれたボールを渡された。浦崎は昨年12月に帰省した時、最後の夏はベンチ外だった兄から「魂のボール」を受け継いだ。

チームは遠征のバスで「熱闘甲子園」のDVDを見てモチベーションを高める。16年版では作新学院の今井が、お守り代わりに祖父の遺骨をネックレスとして身につけていた。それからは試合前にはボールを握り、ピンチになれば空を見上げ祖父に思いをはせる。「1球1球を大事にして攻める守備で勝ち上がりたい」。聖地まであと4勝。一家の思いを背負ってマウンドに立つ。【西塚祐司】