仙台育英の小濃が、両親に贈る感謝の弾丸ライナーを右中間最深部に突き刺した。

一塁をまわると、三塁側応援席に何度もガッツポーズ。

「小さい頃からの夢。あの歓声は一生忘れられない。ホームランボールは両親に渡します」。

本塁打を打てるような強い男に育つよう「塁」と命名された男は、6日の開会式で記念球を置く小さなバットの台を購入した母恵美子さん(48)に甲子園での本塁打を約束。「練習試合でもいつも来てくれていますし、生んでくれたことに感謝。日本一になって最高の恩返しをしたい」と次の目標を言葉にした。

昨夏も2年生4番として浦和学院(南埼玉)戦出場し、無安打3三振。0-9と大敗した悔しさを糧に自身を磨き続けてきた。さらに強い打球を求め、今春から左足のくるぶしが地面に接地するくらい膝を低く沈み込ませる新フォームに着手。宮城大会ではわずか1本塁打に終わったが、大阪入り後に力がボールに伝わる感覚を得つつある。

実家は白河の関に、ほど近い。「優勝旗を持ち帰ることで喜んでもらえると思うし、歴史にも残る」。敦賀気比(福井)との3回戦以降も、東北魂を込めてフルスイングする。【鎌田直秀】

◆小濃塁(おのう・るい)2001年(平13)8月11日生まれ、福島・浅川町出身。浅川小4年からあさかわファイヤーズで野球を始め、ポジションは全てを経験し県大会準優勝。小6で楽天ジュニアに選ばれ二塁手。浅川中では投手と捕手で県大会4強。遠投110メートル、50メートル6秒2。170センチ、75キロ。