熊本工は1点差の惜敗で、06年以来13年ぶりの3回戦進出はならず。それでも古豪の意地は見せた。

4-6で迎えた9回。1死三塁で、初戦の山梨学院戦で延長12回にサヨナラ本塁打を放った山口環生内野手が仕事をした。「自分に回って来いと思った。本塁打は意識していなかったが、絶対返すつもりだった」。執念の遊ゴロで1点差に追い上げたが、後続が続かなかった。7回にも2点適時打を放ち、4打数1安打3打点の山口は「ついに終わったかという感じだった。甲子園の雰囲気にのまれ、相手の威圧感に浮き足だった。あっという間に時間が過ぎていったが、楽しめたんで来られて良かった」と振り返った。

悔やまれるのは春夏通算42回の甲子園出場の伝統校らしからぬ4失策などミスが続出したことだ。3回2死一、二塁で、森翔太郎内野手が三ゴロを一塁へ悪送球。「足が速い人が多く、いつも以上に心の焦りがあった」と、まさかの形で先制点を献上した。5回には「簡単に走られ、とても守りづらかった」という強肩の捕手青山典勢の二塁悪送球や、右翼手小野隆也の後逸などで4点を失った。盗塁も4個許し、堅守が崩壊した。

相手の機動力を警戒するあまりの自滅。田島圭介監督(38)が「ミスからの失点がすべて。二盗、三盗など見えないプレッシャーをかけられ、青山が慌てて、森も普段しないミス(2失策)でやられた」というように波に乗れなかった。母校を率い、甲子園初采配だった指揮官は「ミスが悔しくて。新チームに生かしたい」と再起を誓った。【菊川光一】