14年以来5年ぶりの8強入りに挑む八戸学院光星(青森)が15日、海星(長崎)との3回戦に備え、兵庫県内で約2時間の練習を行った。

台風10号の影響により、予定されていた第101回全国高校野球選手権大会(甲子園)3回戦4試合が、16日にすべて順延。「5番左翼」で中軸を担う大江拓輝(たつき)外野手(3年)は、中学時代に東成シニア(大阪)で仲間だった鶴岡東の左腕・影山雄貴(3年)の好投に刺激を受け、甲子園での対戦実現のためにも勝ち続けることを誓った。東北勢は3校が16強進出。鶴岡東、仙台育英は宿舎で完全休養した。

   ◇   ◇   ◇

大江が大型台風を吹き飛ばすかのような強振を繰り返した。室内練習場での打撃練習で、聖光学院(福島)に2失点完投した海星の右腕・柴田蓮人(3年)をイメージしながら快音を連発。「1日多く練習できたので良い準備が出来ました。カットボールやツーシームなど動くボールで打たせてとる投手」。青森大会は、決勝で本塁打を放つなど打率5割。高校通算19発の長打力も魅力だが、勝利を導く一打を最優先に考える。

智弁学園との2回戦では4打数無安打に終わったが、調子は上々。「つなぐ野球をしないと甲子園では勝てないし、勝つ難しさを、智弁学園戦であらためて思い知らされた」。一時は7-1とリードしたが、6回裏に一挙7失点で逆転された苦しい展開を乗り越えたことで、精神面でも強くなった。「長打を狙うのではなく、単打でも塁に出たい。ボールをしっかり引きつけて強い打球で攻略します」と言い切った。

中学時代は捕手。バッテリーを組んでいた鶴岡東・影山が、高松商(香川)、今春センバツ準V習志野(千葉)を連続撃破したことも力に変えている。影山が1回戦で勝利した9日には電話で連絡。「ナイスピッチング。絶対勝ち上がって来いよ」と伝えると「お互い頑張ろうぜ」とエールを交換した。「あいつは本当にすごいやつ。甲子園で1番対戦したい投手。やっぱり負けてもらったら困る」。ともに3回戦を勝てば、準々決勝以降は再抽選。早ければ準決勝で夢が現実となる。

田村龍弘捕手(現ロッテ)、北條史也内野手(現阪神)らを擁して11年夏から甲子園3季連続準優勝の先輩たちに憧れ、青森の地での野球を選んだ。「(大阪に近い)甲子園から離れ、親元も離れて野球だけに集中させてもらってきた。絶対に地元に戻って活躍する思いは強かった」。今春センバツで初戦敗退した悔しさも胸に、大好きな甲子園で頂点に立つ夢もかなえる。【鎌田直秀】